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青果物トラック輸送、苦境

運転手の人手不足が常態化

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トラックにキュウリの入った箱を積み込むドライバー。積載率を高めるため、基本的には手作業だ=益城町の熊本交通運輸
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 県内JAが出荷する青果物の輸送の9割を担うトラック輸送が、苦境に立たされている。熊本地震や全国的な雇用環境改善の影響で運送業界の人手不足が常態化。人員確保のための待遇改善にはコストが掛かるが、かといって運賃を値上げすれば農家の負担増になるため、関係者は頭を悩ませている。

 JA熊本経済連によると、県内のJAから全国に出荷される青果物は年間22万~23万トン。「全国の消費者に新鮮な県産野菜を届けるには、トラック輸送は欠かせない」と経済連の担当者。

■ぎりぎり

 ただ、そのトラック輸送は「ぎりぎりで踏みとどまっている状況」(県内運送業者)だ。農産物輸送が売り上げの1割を占める熊本交通運輸の吉川誠常務は「地震以降、建設業などに転職した運転手は20人以上。人手が足りず、事務職員をドライバーに回すこともある」と窮状を訴える。

 厚生労働省の調査(2015年)によると、道路貨物運送業の年間所得額は388万円と、全産業平均に比べて101万円低い。また、ここ10年に相次いだツアーバス事故や、大手運送会社の長時間労働で運転手の労働環境改善に注目が集まり、法令順守に対する国の要請も高まっている。

■時間厳しく

 県内の青果の輸送先は、大消費地・東京が約35%を占める。熊本からの距離は約1200キロ。朝、収穫した青果は県内各地のJAなどに集められ、トラック運転手自らが手積みして夕方出発。翌々日の朝の競りに間に合うよう都内の複数箇所の市場に届けている。

 ただ、生育が天候に左右される農作物は事前の出荷量把握が難しく、荷を満載にするため複数の集荷場を回ることが多い。また、選果や箱詰めにも時間がかかり、運転手は出荷待ちを余儀なくされる。連続運転時間や休憩時間などの法令順守を徹底すれば、「東京の競りに間に合わせるのは、時間的にかなり厳しい」と吉川常務。

■行政支援を

 農産品物流の改善・効率化に向け、国も対策に乗り出した。農林水産省、経済産業省、国土交通省は今年3月、対策の中間まとめを発表。主な対策として(1)荷の積み降ろし作業軽減のため、フォークリフトでパレット(運びやすい荷台)を敷いたまま積載(2)産地に物流拠点を設けて荷物を集約し、積載率を向上(3)消費地にも物流拠点を設置。長距離輸送した運転手は荷を拠点に降ろし、各市場への輸送は別の運転手が担う-を打ち出す。

 しかし、いずれの対策もコストの壁が立ちはだかる。パレットを敷けば、青果物の積載量が減る。物流拠点を産地や消費地に設けるには、建物や冷蔵施設などの整備が必要。長距離輸送と市場への輸送の担当を分ければ人件費がかさむ。

 吉川常務は「運送業者の経営努力にも限界がある。かといって、運賃を値上げすれば農家の負担は増える」と悩ましげ。「熊本の農業を守るためにも、輸送への行政の支援があれば助かるのだが…」と話す。(植山茂)

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