家庭の「シアワセ」って何だろう?
外で受けたストレスを癒し、元気と笑顔を取り戻すための場所……それが「家庭」。しかし、家庭が家族の心を締め付け、うつ要因をつくったり、外に「はけ口」を求める結果となっているケースは、山のようにあります。
「幸せ」は理屈で考えるものではなく、心でぼんやりと感じる「ほの温かい感覚」。それは、毎日の積み重ねによって育まれます。では、この「ほの温かい感覚」を家族みんなが持ち続けるために必要なのは、どんなことでしょう?
それは、ズバリ互いが互いを「見守る」技術なのです。
「見守る」ってなに?
「夫のストレスが気になったら、しばらく見守りましょう」「子どもが道を外さないように、見守りましょう」など、「見守る」という言葉はよく使われますが、その具体的な意味は意外に分かりにくいものです。
「見守るって、見ているだけとどう違うの?」「見守っているうちに、取り返しがつかなくなったらどうするの?」と疑問に感じる人も多いでしょう。
「見守る」とは相手の無事を祈りながら、しばらくなりゆきを見ること。そして、「危ない!」と思ったときには、すぐに相手を守ること。家族の場合、普段はお互いを束縛しすぎずに楽しく過ごし、危険を察知したときにはいちばんに守り合うことなのです。
家族に必要な「見守る技術」とは?
家庭の幸せを守るには、見守る技術をどのように発揮していけばいいのでしょう? 具体的には、次の5つのポイントを参考にしてみてください。
● 「いつもの様子」とどこが違うか毎日よく観察する
体調に変化がないか、ストレスがたまっていないかを、相手を観察しながら感じられるようにしましょう。特に、家族が必ず気付かなければならないポイントは、次の4つです。
1 朝の気分の変調:起きられない、食欲がない、新聞が読めない
2 帰宅時間:毎晩遅くまで残業が続いている
3 睡眠の変化:就寝時間、眠りの浅さ
4 休日の過ごし方:1日中寝ている、毎週末外出を嫌がっている
● 元気がないときはすぐに声をかける
相手の小さな変化に対して、すぐに「体調悪いみたいね」「大丈夫?」と声をかけましょう。「ちょっといつもと違うな」と感じた頃に声をかけることで、それ以上の危機を防ぐこともできます。また念のため、あらかじめ近場で評判のよさそうな精神科を探しておくことも大切です。
● 気分を「楽」にすることを考える
相手の気分を盛り上げようと、勝手に外出や来客の予定を立てないこと。あまり派手ではなく、今の生活の中で相手の気分や体を楽にすることを考えましょう。たとえば、体が疲れてしんどそうなら、普段はやらないごみ出しや洗濯などをやってあげる。これだけでも、だいぶ気分が楽になるはずです。
● 「ちょっと元気」になるものを用意する
落ち込んだ相手には、おいしいスイーツ、ブーケなど、気持ちが「ちょっと元気」になり、思わず笑顔が浮かぶものを用意してあげましょう。ちょっとした好意に気持ちがほころぶ、この感覚の積み重ねが家族に幸せを実感させてくれます。
● 相手が辛いときには、自分のお楽しみは控えめに
相手が辛いときには、なるべく早く帰って一緒に過ごすようにしましょう。ただ、自分の部屋でパソコンばかり見ていたり、お酒を飲んでテレビばかり見ていては意味がありません。じっくり家庭のことをするなど、相手のためを思った生活をしましょう。また、お互い違う部屋にいる場合には、扉をなるべく開けておくことも肝心です。
ところで、「見守る技術」は、相手が少し「調子が悪いとき」に効果を発揮します。お互いにストレスがなく順調にやっているときには、見守る態度を逆に「過干渉」と感じることもあります。
元気なときにはお互いに自由に泳ぎ、有事には味方になる。このようなスタンスこそ、家庭の幸せを長続きさせるためには、必要です。