全線フル「情報を見極め」

 中村法道知事は22日の定例会見で、県が全線フル規格を求める九州新幹線長崎ルートについて「まずは(与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームの)検討委の成り行きを基礎データ部分を含めしっかり見極める必要がある」と述べ、国から全線フルなどの選択肢に関わる建設費や期間の情報が提供されるのを待つ意向をにじませた。

 先に県独自でコストや期間を試算する可能性には「他県の建設事例を参考に推計はある程度できると思うが、詳細に把握するには情報量が不足している」と慎重な姿勢。全線フル着工の前提となる環境影響評価(アセスメント)についても「国の基本的な考え方を聞かないと期間的なぶれも生じる」とした。

 知事は全線フルについて▽国として財源がどう確保されるのか▽佐賀県が懸念する地元負担がいくらか-などを注視する構え。国側に全線フルやそれ以外の選択肢も含め「詳細な情報を出してほしい」とし、そうした情報を踏まえ「幅広い県民の意見を聞き、これからのあり方を模索していく必要がある」と述べた。

 同ルートを巡っては導入予定だったフリーゲージトレイン(FGT、軌間可変電車)の開発が難航。JR九州が「導入困難」と表明後、県は全線フル要求に方針転換したが、佐賀県は負担増を理由に難色を示している。

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