島崎藤村しのび合掌 地福寺にファンら80人

 日本の近代文学を代表する一人で、小説家・詩人の島崎藤村(1872〜1943年)をしのぶ藤村忌が22日、大磯町大磯の地福寺で行われ、文豪が眠る地にファンら80人が訪れ、思いをはせた。

 1941年に温暖な気候を好んで大磯に移り住み、2年後の8月22日、「東方の門」第3章を執筆中に倒れ、「涼しい風だね」と言い残して亡くなった、とされる。75年には町の名誉町民の称号が贈られている。

 藤村忌は約30年前から行われており、この日は同寺の櫻井智定住職(68)が墓前で読経。参列者全員が手を合わせ、花などを手向けた。

 主催した町観光協会の大倉祥子会長は「激動の時代の最後に大磯を選んでもらった。町民としてこのお墓を守っていきたい」とあいさつした。

 出身校・明治学院の卒業生たちも訪れ、藤村が作詞した校歌を墓前で披露した。竹越浩一同窓会長(71)は「先輩を大事にし、藤村の作品や人となりをもっと多くの人に知ってもらいたい」と話していた。

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