鉄道文化むら維持へ寄付金 機関車展示やトロッコ運行

 峠を上った機関車の展示や、トロッコ列車を運行する碓氷峠鉄道文化むら(群馬県安中市松井田町横川)を維持するため、碓氷峠交流記念財団は23日、小口の寄付金を運営費に充てる新たな支援の仕組みを設けたことを明らかにした。電気機関車「EF63」や旧JR信越線を使ったトロッコ列車の整備などに活用する。北陸新幹線開業に伴って横川-軽井沢間が廃止され、来月末で20年。文化むらの入場者は年々減っており、広く鉄道ファンの支援を得ながら、峠の歴史を継承する。

◎峠の歴史継承 ファン支援期待

 小口の寄付金を集める新たな仕組みは「サポーターズ制度」と総称。このうち「EF63形電気機関車サポーター」は現在、文化むら敷地内を400メートルほど走らせて「動態保存」をするEF63などの機関車が、経年劣化で保守点検や修理費用が増大しているとして、募った寄付金を充てる。

 もう一つの「旧信越線(トロッコ線)サポーター」は、残された線路を使って文化むらから日帰り温泉施設「峠の湯」までの約2.6キロを走るトロッコ列車について、線路の保守や枕木の交換に使うとしている。

 63サポーターは一口1万円で2000万円、トロッコサポーターは同5000円で300万円を目標額に設定。共に当面必要な整備費用の3分の1程度に当たる。賛同者は住所や氏名の入ったプレートが文化むら内のトロッコ駅や枕木に設置されるほか、トロッコ乗車券などが贈られる。財団はトロッコサポーターについて、プレートを枕木に置くため「枕木オーナー」と称した。

 このほか、財団は展示車両の塗装などを手掛けるボランティア「ワーキングサポーター」も募集する。

 文化むらは廃止された峠の鉄道の歴史を後世に伝え、地域活性化につなげようと事業費約20億円かけて1999年4月に開園。初年度は29万5000人が訪れ、2億3319万円の入場料収入があったが、年々来場者は減少し、2016年度は過去最少の13万2800人、入場料収入は1億3500万円まで落ち込んだ。

 来月末で廃止から20年となる横川-軽井沢間は、文化むら開園以降、トロッコ列車を軽井沢まで延伸させる「復活計画」が浮上したが、経済的な理由などから断念した経緯がある。

 財団の上原有一理事長は「展示された車両は貴重な歴史。力を貸してほしい」と話している。

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