【浦和】新体制初の先発抜擢、矢島慎也が「一人二役」で掴んだ収穫と課題

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[ACL準々決勝 1st-leg] 川崎 3-1 浦和/8月23日/等々力

 浦和レッズの矢島慎也が堀孝史新体制下で、初めて公式戦の先発出場を果たした。ボランチとシャドーを兼務する「一人二役」をこなして70分までプレー。惜しみないアップダウンで貢献し、ラファエル・シルバと交代している。
 
 矢島の役割は、守備時は5-3-2の「3」の左ボランチとして、ペナルティエリア前のゾーンを固めた。一方、攻撃時は3-4-2-1の「2」の左シャドーとして、前線の興梠慎三や李忠成を生かす役割を担った。
 
 浦和の背番号39は献身的にスペースを埋めながら、前線に繰り出すなど走ってチームの攻撃にアクセントを加えた。それでも川崎フロンターレと比べると、チーム全体でそういったスペースを突く動きそのものの回数で少なく、質の面でも上回られた。
 
 立ち上がりからチーム全体が受け身になりすぎた。そのため、矢島もボールを受けるポジションを見出せず、なかなか起点として機能できなかった。
 
「前半はビルドアップの面で、相手がプレッシャーを掛けてきた時に外せず、GKまで戻して蹴って、セカンドボールを回収されるという悪循環に陥ってしまいました。もっとボールを受ける回数を増やして、前の位置でもらえるようにしなければいけなかった」
 
 矢島からはそのように反省の弁が聞かれたものの、そのなかで前線に空いたスペースに飛び出すなど、オフ・ザ・ボールの動きで変化を付けて反撃の糸口を見出そうとした。それでも、「プレスの圧力が強まると、ボール回しも後ろ、後ろになっていった」と、川崎にギアを上げられると劣勢を強いられたのだ。
 
「上手くキックを蹴れることもあったので、そういったシーンをもっと増やしていきたい」
 
 矢島はそのように課題を挙げた。長短の精度の高いキックで変化を付けられる貴重なテクニシャンであり、チームのために走れるハードワーカーなだけに、この日のように司令塔の柏木陽介が不在の時に、その座を奪うぐらいの獰猛なプレーを見せたかった。

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 ただ、それでも矢島は少なからず、次につながる確かな感覚を掴み取っていた。
 
「守備の整理は付いてきました。だから、次は攻撃の整理。(ボランチでも、シャドーでも)感覚的なところは変わらずできた。良い守備から良い攻撃につなげていきたい。いいシーンは何度かあっただけに、自分の良さをどんどん出して、仕掛けていきたいです」
 
 ファジアーノ岡山にレンタル移籍していた昨年の夏は、リオ五輪日本代表として、グループステージ最終戦のスウェーデン戦で、1-0の勝利をもたらす決勝ゴールを決めた。

 あれから1年-―。

 自分自身への挑戦として「浦和復帰」の道を選んだ。そして浦和ユース時代に指導を受けたことのある堀新監督の下で、23歳の新司令塔候補は、彼自身であり、そして浦和の突破口を見出そうと、もがき苦しみながらも、ひたむきに突き進んでいる。
 
取材・文:塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)

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