南アフリカ、セーフガードを発動 日本のホット・厚板輸出も打撃

 南アフリカ共和国政府は、輸入品の熱延コイルや厚板に対し、緊急輸入制限(セーフガード=SG)措置を発動した。今月11日にSG調査の結果「クロ」と最終決定したことを公示し、先週17日に世界貿易機関(WTO)へ通報した。適用期間は3年間で、日本高炉メーカーによる同国向けホットや厚板輸出も打撃を被りそうだ。

 SG税率は来年の8月10日まで12%で、2年目は10%、3年目は8%。南ア政府は一般関税でもホットなどに10%を課しており、SG税と合わせ20%前後が課税されることから、現地顧客にはトン当たり100ドルほどの負担が生じることになる。

 南ア政府は南アフリカ鉄鋼協会(SAISI)の提訴を受け、昨年3月から同SG調査を開始。今年4月にWTOへ7月から発動する旨を通報していたものの、南アフリカ国際貿易管理委員会(ITAC)による最終決定が下っていなかった。当初予定より1カ月ほど遅れて発動に至った格好だ。

 日本から南アへのホット・厚板輸出は、新日鉄住金と伊藤忠丸紅鉄鋼が出資する薄板リローラーのサファール・スチール向け原板供給や、鉱山機械用の耐摩耗鋼など年間10数万トンで推移してきた。しかし資源安による需要低迷や一般関税が10%へ引き上げられた影響もあって減少傾向にあり、2017年はSGの影響も加わって3年ぶりに10万トンを割り込むのが確実な情勢だ。

 南ア政府は冷延鋼板でもSG調査を実施している。

© 株式会社鉄鋼新聞社