外海の食材洋風にアレンジ

 長崎市下黒崎町の割烹(かっぽう)店「波矢司(はやし)」代表、林絵里花さん(32)が、農水産加工品の新ブランド「ソトメクラシ」を立ち上げた。同市外海地区の食材を洋風にアレンジして提供しながら、外海で育まれた食の豊かさを大切にする、という思いを込める。

 このブランドで発売したのは、瓶詰め3種とドレッシング。瓶詰めのうち「水イカのアヒージョ」は、外海で水揚げされたミズイカをオリーブオイルなどで煮込んだ。「ゆうこうとウツボのマリネ」と「ゆうこうのジュレドレッシング」は、外海伝統のかんきつ類ユウコウを使用。ドレッシングは、梅やタマネギなど、その時々の旬の食材で中身を変えて製造する。

 「県外から外海に観光に来た若い人が買って帰りたいと思うような、しゃれた商品を作りたかった」と林さん。ブランドのイメージは、旧外海町の姉妹都市、ボスロール村のある「フランス」だ。同市東出津町の道の駅夕陽が丘そとめと、同市諏訪町のまちぶら案内所もてなしや2号店で販売。今後も新ブランドの商品開発に取り組む。

 2011年、亡くなった父親から店の経営を受け継いだ。それから7年。人口減少が進む中で、地域で育まれてきた食の知恵を継承していく大切さを痛感。畑仕事やタケノコ採り、ウニ採りなどに取り組みながら、高齢者から伝統的な加工保存の方法を学んでいる。

 林さんは「昔ながらの外海の暮らしを大切にしたい。まずは『ソトメクラシ』のブランドで若い人に発信していきたい」と話している。

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