大正堂書店が新装オープン

 長崎市鍛冶屋町の老舗古書店、大正堂書店が1日、新しく建て替えた店舗で新装オープンした。外観は、100年前に建てられた店舗を復元し、大正ロマンを感じさせるたたずまい。"本が売れない時代"に人と本をつなぐため、伝統を大切にしながらも新たな商機を模索している。

 大正堂書店は1909(明治42)年、磨屋町(現・古川町)に創業した。17(大正6)年に現在の場所に移転。長崎学の専門店として郷土史や対外交渉史、キリシタン関係の書籍を幅広くそろえ、遠藤周作や松本清張、市川森一ら著名な作家も執筆の資料を探しに通った。

 新店舗は、老朽化した前の店舗を昨年12月に取り壊し、2月から建設を始めた。外観は、1917年の移転当時の建物で、戦時中の強制疎開で壊された店舗を復元。鉄筋コンクリート造りの4階建てで、1階を店舗、2階を倉庫として数万冊の在庫を保管している。壁面はモダンなしっくい塗りで、店名のイニシャルを組み合わせたロゴマークや、字形が独特な看板を再現した。

 店内のレイアウトも大きくリニューアルした。ところ狭しと並んでいた商品は、壁の書棚にすっきりと陳列。空いた中央のスペースには、これまで店内に置いていなかった貴重な初版本や復刻本を並べている。今後も、包装紙やブックカバーなどの新調や陳列の工夫など、店に足を運んでもらう仕掛けを考えていくという。

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