被災宅地復旧、709地区で計画

着工、1地区のみ

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熊本市北区龍田3丁目の住宅団地で8月中旬に始まった宅地擁壁の補強工事。擁壁には複数のひびが入る=8月31日

 熊本地震で被災した宅地を復旧する公共事業が、県内14市町村の計709地区で計画されていることが9日、県のまとめで分かった。国は宅地被害の補助要件を緩和するなどの対策を取っているが、着工したのは熊本市北区の1地区のみ。県建築課によると、地震による宅地被害はこれまで例がなく、被災地区ごとの工法検討や関係世帯の調整に時間を要しているという。

 内訳は、盛り土造成地の地滑り対策463地区▽がけ崩れによる擁壁被害対策238地区▽液状化防止対策8地区(いずれも7月末現在)。

 盛り土造成地の地滑り対策では、従来「10戸以上、被災面積3千平方メートル以上」など大規模崩落が国の補助対象だった。しかし、国は熊本地震を機に「2戸以上、盛り土の高さ2メートル以上」と小規模な被害も対象に加えた。

 大規模崩落の対策は熊本、宇土、御船、西原、益城、大津の6市町村計39地区で実施予定。うち熊本5、宇土1、御船3の計9地区は2016年度予算で事業化し、地質調査や測量・設計に入った。

 ただ、着工したのは熊本市北区龍田3丁目の住宅団地(約60戸)だけ。8月中旬にようやく擁壁の補強工事が始まった。

 小規模被害の対策は17年度、11市町村の計424地区で測量・設計に入る。

 このほか、がけ崩れによる擁壁被害対策は県と12市町村が計238地区で実施する。

 液状化防止対策は「10戸以上、被災面積3千平方メートル以上の団地」が国の補助対象。熊本3、甲佐1、益城4の計8地区で検討している。

 受益者負担を求める事業も一部あるが、ほとんどが国の補助を受けて市町村や県が実施し、宅地所有者には負担を求めない方針。県は17年度中の着工、19年度中の復旧完了を目標に掲げる。

 一方、国の補助対象とならない宅地被害については、県の復興基金を活用し、上限633万円まで補助する被災宅地支援事業がある。24市町村が実施し、7月末現在で1390件の申請に対し、7割弱の932件計18億2千万円を既に交付している。(並松昭光)

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