なぜ"ジャンプライズ"のシンキングペンシルは釣れると言われるのか?【ぶっ飛び君・かっ飛び棒・飛びキング】

ソルトウォータールアーのジャンルにおいて、ミノーやトップウォーター、メタルジグなどとならんで、欠かすことのできないのが「シンキングペンシル」(シンペン)だ。中でもルアーメーカー「ジャンプライズ」が生み出すシンペンシリーズは高い人気と実績を誇っている。その釣れるヒミツを解明する。

ジャンプライズが誇る人気シンキングペンシル3機種

「ぶっ飛び君」「かっ飛び棒」、そして2017年秋に発売予定の「飛びキング」。これら3つのルアーが、現在ソルトルアーゲームの世界を賑わせている、ジャンプライズのシンキングペンシル(シンペン)だ。

この3機種には既存のシンキングペンシルの枠を超えた、いくつかの特徴がある。

ジャンプライズ製シンキングペンシル第一弾「ぶっ飛び君」の登場はあまりにもセンセーショナルだった。
ジャンプライズ製シンキングペンシル第二弾「かっ飛び棒」は、沖の表層をスローに攻略できる革命的ルアーとなった。
そして今…2017年秋に発売を控えた飛びキング。発売前からその知名度が異様に高い。

■ひとつが「飛距離」

ぶっ飛び君とかっ飛び棒はメタルジグ並みの飛距離を誇る。そして、飛びキングはジャンプライズ代表・井上友樹さんのデータによると、平均5メートルはメタルジグより遠くへ飛ぶ(気象条件などに異なる)。

■ふたつめが「アクション」

ぶっ飛び君は、既存のシンキングペンシルよりも強い中波動アクションが特徴。そのため、魚を寄せるチカラを保持しつつ、シンペン特有の喰わせの能力にも長けている。

かっ飛び棒は、ぶっ飛び君ほど波動は強くないが、通常のシンペンよりもアピール力が強い。また、浮上性能に長けているので、沖の表層をスローに流すことができる。

そして、飛びキングはミノーライクなハイピッチアクション。さらにメタルジグなみの優れたボトム感知能力を備えている。イメージとしてはメタルジグに近く、ミノーにも近いシンキングペンシルといえる。

そして…3機種とも外洋の荒波の中でもしっかり泳ぐ。

■3つめが「引き抵抗」

自分が今、何をしているのか分からない。という意見が多いシンキングペンシルの世界。つまり既存のシンキングペンシルは引き抵抗がほぼ無いのが現状。

だが、ジャンプライズ製の3機種はしっかりとした引き抵抗がある。実はこの引き抵抗こそが、ジャンプライズのシンキングペンシルの能力を引き出すトリガーになっている、と井上友樹さんは言う。

釣れる「引き抵抗」を覚えることが上達の近道

井上友樹さん「上級者であれば、引き抵抗がなくても荒波の中で、正確にリトリーブ速度をコントロールできるだろう……という意見も出てきそうですが、少なくとも自分には無理です。まぁ~自分が上級者ではないのかもしれませんが…(笑)」。

井上友樹 いのうえ・ゆうき ジャンプライズ代表。ヒラスズキの世界記録をはじめとした、ショアからの大物ハンターとして人気が高い。ターゲットは大物だが、釣りの精度と理論は緻密を極めている。さらに、ルアー構想から、内部構造、CADデータ、プロトモデルの削り出しまでを、一人でこなす日本有数の天才的ルアー開発者としても知られている。

井上さん「ルアーは風や波、潮流などの抵抗とケンカしながら泳ぎます。手元に感じる抵抗が大きくなったら速度を抑えて、抵抗が小さくなったら巻き速度を上げます。その繰り返しで、結果的にアクションを一定に保つことができます。ルアーにおけるベストな速度とアクションは、アングラー側がコントロールして引き出す必要があります」。

これらの作業を、手元に感じる抵抗が無い状態で、正確に行えるアングラーが存在するだろうか?

ちなみに「1秒間にハンドル何回転」などの理屈は、外洋においては成立しないという。

リールハンドルを巻いて生じる抵抗も、風でラインが引っ張られてルアーが流される抵抗も、潮目に逆らって泳ぐ抵抗も、すべて抵抗である。抵抗がある限りルアーはアクションする。

井上さん「ハンドルの回転速度ではなくて、感覚として釣れる引き抵抗を覚えられる人が、自分の思う釣りの上手い人です。いかなる条件下でも釣れる抵抗感覚を見失わないことが大切です。そのためには、引き抵抗がないと話になりませんよね(笑)」。

かっ飛び棒のカップと、飛びキングのリップはアクションとは無関係

かっ飛び棒のフロントにはカップが設けられている。そして飛びキングにはリップがある。既存のシンキングペンシルにはカップもリップも存在しない。

実はこのカップとリップ…ルアーアクションとは一切関係ないという。

井上さん「ミノーに代表されるウォブリングやローリングアクションは、ヘッド形状と動きの関係性が大きいです。ですけど、シンキングペンシルの場合は、ヘッド形状とアクションの関係性はほぼありません。シンペンのアクションは内部のウエイト配分で決まります。

かっ飛び棒のフロントに設置されたカップ。アクションとの関係性はない。
飛びキングのリップ。こちらもアクションとの関係性は無い。

井上さん「つまり、かっ飛び棒のカップと飛びキングのリップは、アングラーのために存在しています。しっかりと引き抵抗を出して、アングラーが正確にルアーを操作するためだけに設置しました。引き抵抗があるからこそ、リトリーブ速度が抑えられてオーバーアクションになりません。引き抵抗があるからこそ、ルアーのポテンシャルを余すことなく引き出せます。引き抵抗とはそれほど大事だと自分は思っています」。

ジャンプライズ製のシンキングペンシルは、操作性能に優れている…という意見が多いが、その理由のひとつが引き抵抗に関係していることは疑う余地がない。

外洋の荒波の中でも、確かな操作性が保持できる、ジャンプライズのシンキングペンシルが広く支持されているのは必然なのかもしれない。

釣るための理論とテクノロジーを形にした、ジャンプライズ製のシンキングペンシル。すでにその性能を体感しているアングラーには言うまでもないが、まだ未体験という人にはぜひともご自身で試していただきたい。

[文/立川 宏釣りPLUS

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