製鋼副原料の高炭素フェロマンガン、国際相場が一段高 南ア減産で需給タイト、中国向け需要好調

 製鋼副原料の高炭素フェロマンガンの国際相場が一段高となった。国際的な指標となる欧州市場価格は今週、1トン1470~1480ドルまで上昇。ここ1カ月で5%程度値を上げた。南アフリカの合金鉄メーカーが減産を継続する中、中国を中心に高炉メーカー向けの需要が好調に推移しているためだ。上昇基調がどこまで続くかは不透明なものの、先行き1500ドルをうかがう展開となっている。

1カ月で5%高

 高炭素フェロマンガンは主に高炉メーカーが製鋼副原料として使う。上昇基調が鮮明となったのは今年4月ごろで、この時点と比べると足元の価格は10%程度高い。

 相場を押し上げているのは鉄鋼向けの需要増に加え、南アの合金鉄メーカーの減産継続。南アメーカーの減産はすでに2年に及んでおり、そろそろ一巡するとの見方もあるが、需要好調を背景に需給は引き締まった状態が続いている。

 高炭素フェロマンガンの製造では、高品位のマンガン鉱石が不可欠。高品位鉱はフェロマンガン以上に品薄傾向が強く、これが高炭素フェロマンガンの生産を抑制する一因となっていることも相場を押し上げている。

 マンガン鉱石の国際価格は9月積みで6・5ドル(純分価格)。高品位鉱の品薄が下支え要因となっており、高値で安定推移している。

 高炭素フェロマンガンが高値寄りに推移しているのとは対照的に、シリコマンガンや金属マンガンについては足元でやや弱含んでいる。シリコマンガンと金属マンガンは中品位鉱石での製造が可能なことから、高品位鉱の需給バランスの影響を受けにくいためだ。このため高炭素品の独歩高が際立っている。

 高炭素品に関しては先行き、中国の需要動向などにもよるが、1500ドルを試す展開となりそう。1500ドルを突破すれば約6年ぶりの高値となる。

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