ヨーロピアンF3:プレマ・セオドールレーシグ 2017年第7戦ニュルブルクリンク レースレポート

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カラム・アイロット、ポールとポディウム獲得でタイトル争いに踏み留まる

2017年9月17日
ドイツ/ニュルブルクリンク 北ショートコース

 全10ラウンド/30レースで争われるFIA F3ヨーロッパ選手権も今回で8ラウンド目。今回、第22-24戦が開催されこのレースの後の残りラウンドは僅か2ラウンド/6レース。

 今シーズンはVWエンジンが巻き返しに成功しており、対するメルセデス勢もシーズン後半に挽回してきて、このしばらくはエンジンに関してはイーブンの状況が続いている。

 また今年は昨年の様な我々プレマ/セオドール一辺倒と言う展開ではなく、ランド・ノリスを推するカーリンモータースポーツ、元プレマパワーのエンジニアを雇い体制強化に務めるハイテックGP等、もはや他チームを何かで圧倒的にリードするものは何も無い、と言う状況にまで追い込まれている。

 その状況を象徴するかのように、フリープラクティスでのチームのトップは11番手に#53カラム・アイロット、16番手に地元ドイツの#3マキシミリアン・ギュンター、次いで18番手に#8周冠宇、そしてこちらも地元ドイツの#25ミック・シューマッハが19番手と言う結果だった。

 レースフォーマットは金曜日に予選1。土曜日にレース1を行い、レース1終了後の夕方に予選2/3(セカンドベストタイムを採択)。日曜日の朝にレース2。そしてDTMのファイナル後に最後のレース3が行われる。

予選1

 金曜日の予選1はフルウエット。前日までの不振を振り払うかの様に果敢にアタックした結果、カラム3番手、マキシミリアンが5番手とTop 5に二台が入った。周は14番手、ミックは16番手となっている。

レース1

 雨は上がらず、アイフェルの山中にあるサーキットは日本の晩秋の雨の日の様な寒さに見舞われた。

 今やジュニアフォーミュラでは少数派となったウエットコンディションでのスタンディングスタート。ポールの#31ランド・ノリス(カーリン)が抜群のスタートを切り、カラムがそれに続き2番手に上がり、マキシミリアンも3番手に上がる。しかしマキシミリアンは、たまたま居た位置が悪く周囲の混乱に巻き込まれてポジションを落としてしまう。

 スタート直後、雨足が強くなり英国勢が得意とするコンディションとなり、上位はノリスを先頭に、カラムを抜いた#34ジェイク・ヒュース(ハイテック)などの英国勢にそれぞれのチームメイトが絡む展開となる。

 序盤から随所で接触によるコースアウトが続出しFCYが出される。その中でカラムが自分の背後で起こったアクシデントに間一髪で巻き込まれずにレースを続行できたのはラッキーと言う他は無い。

 レース再開後もカラムは4位を維持したまま走行するが、途中に出た二度目のFCYで後ろから来た#11牧野任祐(ハイテック)に詰められてしまう。しかし終盤これを引き離し4位でフィニッシュ。

 一方のマキシミリアンはタイヤの極端なグリップ不足により、コース上に踏み留まるだけで精一杯の状況。その中で周囲との接触を避けたり、自らが小さな接触をしたりとその都度順位を下げ最終的に13位でフィニッシュ。ただ耐えているだけのレースとなってしまった。

 ミックは8位でゴール。周もそれに次いで9位でレースを終えた。この二人には特に大きな混乱もなかったが、FCYを上手に活かせず、またタイヤのグリップ不足に悩まされて、ただ完走するに留まったレースだった。

予選2/レース2グリッド

 土曜日の夕方行われた予選2。大雨でコンディションは更に悪く、レース1のベストと比べても更に3秒も遅いコンディション。

 レース1の結果に反映されなかったものの、チームのクルマのコンディション自体は決して悪い訳ではなく、カラムが2番手フロントローを手に入れた。これに続く周も7番手とまずまずのタイム。

 しかしレース1でリズムを崩してしまったマキシミリアンは15番手に沈み、ミックも20番手と冴えない。

レース2

 日曜日、朝のコンディションはドライだが冷たい風が吹き、真冬の様なコンディション。

 2番グリッドのカラムはスタートを決め、ヒュースに次いで2番手を維持するが、すぐ後ろのノリスに付かれてしまい3周目にパスされて3番手に落ちる。カラムはこの後、このレースウイークに大当たりしているハイテックの牧野に追い詰められる場面もあったが、結局カラムはこのポジションを守り切り3位でゴール、ポディウムを獲得した。

 一方、5番手を走行し更なる上位を伺っていた周だが縁石に乗り過ぎてしまいハーフスピン。順位を大きく落として12位まで後退。更にこの後順位を落とし、13位フィニッシュとなる。

 レース中盤、14位まで後退していたマキシミリアンは少しだけ挽回して11位でフィニッシュ。一時は15位まで下げたミックは14位でゴールした。

予選2/レース3グリッド

 日付は戻り、土曜日夕方の予選2のセカンドベストで決まるレース3のグリッド。ここでカラムはポール。この週末、結果こそ付いて来ていないがタイムは悪く無い周が5番グリッドを確保。しかし波に乗れないマキシミリアンは14位、ミックも20番手で予選を終える。

レース3

 この週末、最後のレース。

 ポールのカラム、5番手の周はそれぞれベストなスタートを決めて1コーナーを目指す。カラムはトップを維持したままコーナーを立ち上がるが、周に悲劇が襲う。

 ブレーキングをミスをした#62フェルディナンド・ハブスバーグ(カーリン)がコーナーを旋回中だった周のマシンに真横からぶつかり、周はそのままスピンをしながらグラベルでストップ。これでレースを失ってしまった。

 レースはここでセーフティーカーが入る。そしてレース再開。タイヤがコールド時のフィーリングが悪いのか、カラムのスピードが伸びず後ろに迫るノリスのみならずヒュースや#7ラルフ・アーロン(ハイテック)にも追い捲られる状態となる。

 一方、14番手からスタートしたマキシミリアンだったが、ここで大きくジャンプアップし、8番手争いを牧野やV.A.R.勢とするまで順位を上げて来た。

 カラムは必死の抵抗をするが、今週のハイテック艦隊の層は厚く、4台全てが均一の速さを誇示している。これにはカラムとは言え防御しきれずにポジションを明け渡して4番手に落ち、結局そのまま4位完走に留まった。

 マキシミリアンも7位まで順位を上げてそのままフィニッシュ。最悪の中で最善の答えを出すことに成功した。

 20番手スタートだったミックだが、こちらはようやく何かを掴んだ様でジワジワと順位を上げて行き最後は11位でフィニッシュ。タイムもそれほど悪くなく、予選時の不発が悔やまれる結果となった。

 次のレースは9月23-24日のオーストリアスピエルバーグ(レッドブルリンク)。ノリス381点に対し、マキシミリアン308点で残り6レース。タイトル争いは激しさを増し、終盤戦に突入します。またルーキーポイントではミックは3位、チームポイントでは651点で2位のカーリン579点をリードしています。

ドライバーのコメント

#3 マキシミリアン・ギュンター

 レース1は良いスタートができて3位まで上がりました。でもそれからタイヤのグリップが無くなってしまい、ドライビングに自信を無くしてしまった。レース前半のタイヤは自分の思っていたフィーリングでは無く、恐らくこれがポジションを失ってしまった原因だと思う。

 そして前のクルマがスピンをして僕のフロントウィングを壊した。ここで僕のレースが終わってしまったよ。ここから先はただのテストになってしまった。良かったのは最終ラップにセクターのベストを出せて最速だったと言う事を証明できた。

 予選でセットアップを変えて逆効果を生んでしまった。とにかくコースにいる間、ものが言えないほどタイヤのグリップが無かった。確実に何かがおかしい。タイヤかもしれない。でも僕はもう状況を変えることができない。

 予選2とレース2も全く原因がわからなかった。本当にタフなウィークエンドでした。グリップが全く無くキツかった。

 レース3は少し良くなって7位でした。14位から7位まで上がれたのは良かったのですが、結果としてこれは僕たちが望んでいた結果ではありません。

 こんな事があるのがレースだよね。このようなことが起こる時がある。次のレッドブル戦はもっと詰めてプッシュして行きます。

#8 周冠宇

 レース1はかなりトリッキーなコンディションだった。水しぶきでスタートから何も見えなかったけど頑張ってコースに踏み留まったよ。ニュルでウエットコンディションの勉強ができて9位、結果的には良かった。けれどニュータイヤのグリップがあまり無かった。おかしなフィーリングだった。スタート時で完全にノーグリップ状態。でも最後は少しだけ良くなってポイントも獲れた。

 けれど次のQ2/3は良くなかった。グリップはあったけどね。クルマのバランスも良かったしドライビング面で進歩したと思う。セカンドファステストを出した時、シケインでリアをロックさせてしまい4/10ロストした。結果、レース2が7番グリッド、レース3は5番手でこれは状況を考えたら良かったと思う。

 レース2は良いスタートをしたけど、T2で外側の縁石に行ってしまいさらにウエットなグラスエリアに乗ってしまってスピンしてしまった。とても残念でした。良いレースになるはずだったのが…

 レース3も良いスタートを決められました。ところがP4からP3に上がると思ったその時に後ろから大きな衝撃を受けて飛び出してしまい終わってしまった。とても残念です。

#25 ミック・シューマッハ

 コンディションがころころ変わる中で、とてもチャレンジな1日だった。レース1でポイントも取れてリカバーもできた。

 だれどQ2でマシンはいつも通りの動きをしなかった。グリップが全然足りなかった。これはデータを見ないといけない。

 また翌日もグリップが全く無かった。全てを尽くして、できる限りリカバーしたその結果さ。次のレッドブルリングで集中してベストなリザルトを出します。

#53 カラム・アイロット

 レース1はセットアップの関係で混乱した。レースが終わる頃に戦っていた相手と比べてかなり速くなった。全体的にトップスピードは良くなかったけど、僕は#96 Joey Mowson(V.A.R.)と相当な区間で闘って彼を抜こうとした。結果的に5番手からスタートし最後は4位と言う事で悪くはなかったと思う。

 その後のQ2/3は良く無かったよ。チームメートと同じ感じがした。みんな同じ症状なんだ。最後の数ラップでやっとなんとかなった。原因は分からないが、最後の2周は特別な感覚はしなかった。それまでタイムは1分40秒を切れなかったんだよ。かなり心配だった。でも良い結果を出せて良かったです。

 フリープラクティスのセットが完全に外れていたので、レース2では大きく変えた。原因が分からないがおそらくタイヤでしょう。自分のタイヤは数周して落ちてきました。トップの座にしがみ付こうとしたけれど僕もミスをしたのでノリスが早い段階で僕を抜いた。

 レース3は良いスタートができた。マシンは少しマシになった。4位でゴールできてポイントを獲れて良かったよ。#1ジョエル・エリクソン(moto park)もポイント獲ったけど、僕との距離は短くなった。

 *現在エリクソンはシリーズ3位/265点。これに対しカラムは260点でその差は5点差まで迫った。

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