地震耐えた店、4車線化の用地対象に

益城町木山地区

画像
土地区画整理事業に期待と不安を抱えながら営業を続ける理容師の守嶋常朝さん=益城町

 益城町木山の県道熊本高森線沿いで明治時代から続く理髪店「ヘアサロン守嶋」。4代目店主の守嶋常朝さん(47)は、店の外壁に付いた黄色い印を指さした。県が進める県道の4車線化で、道幅がどこまで広がるかを示している。店舗の半分が道路用地の対象となったことが分かる。

 「店は解体しないといけないでしょう。震度7の地震に2度も耐えたのに、自分の手で壊さないといけないと思うと忍びない」と声を落とす。

 熊本地震で築26年の自宅を兼ねた店舗は一部損壊だった。多くの住宅が倒壊し犠牲者も出た木山地区を活気づけようと、被災から2週間後には給水車の水を利用して営業を再開した。

 多くの人に支えられた1年5カ月。自宅が倒壊した常連のおばあちゃんは、避難先の町総合体育館から通ってくれた。「開けてくれてありがとう。応援しとるよ」。自分の方が大変なのに、手を取って励ましてくれた。町外から通ってくれる友人もいる。

 地区住民の多くは仮設住宅で暮らし、県道沿いの店舗も数えるほどしか営業していない。「人通りが減り、寂しくなった」。生まれ育った街がにぎわいを取り戻す手だてとして、県道4車線化と、町が計画する土地区画整理事業に望みを託す。

 8月中旬、守嶋さんは家族旅行の帰りに神戸市に立ち寄った。1995年の阪神大震災からの復興に向け区画整理が進められたと聞いて気になっていた。

 震災から22年。新聞やテレビで繰り返し伝えられた震災直後の光景はどこにもない。きれいに整備され、多くの人でにぎわう街を歩きながら、益城町の再生した姿を重ねた。「子どもたちのために、益城町も活気ある街になってほしい」と思った。

 ただ、神戸市が区画整理を実施した11地区のうち、最後の地区が完了するまで16年を要した。県道4車線化が加わる益城町では、どのくらいの年月がかかるのか。区画整理後も県道沿いで営業を続けられるのか。町に尋ねても「まだ始まっていないため、具体的なことは申し上げられない」とかわされる。

 町は当初、9月にも区画整理の着手に向けた都市計画決定をする予定だったが、まだ決定の知らせはない。「どんどん遅れていかないか心配だ。一日も早く落ち着いて営業できる日が来てほしい」。期待と不安を抱きながら、守嶋さんはきょうもハサミを動かす。(後藤幸樹)

あなたにおすすめ