『ソーシャル・ネットワーク』脚本家の初監督作、セリフ量半端ない!「僕は映画を観るというより聴く」【 第42回トロント国際映画祭】

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トロント国際映画祭の会見に出席したアーロン・ソーキン&ジェシカ・チャステイン - Photo by George Pimentel WireImage TIFF

 現地時間9日、第42回トロント国際映画祭で『ソーシャル・ネットワーク』『スティーブ・ジョブズ』などのオスカー脚本家アーロン・ソーキンが監督デビューを飾った話題作『モリーズ・ゲーム(原題) / Molly's Game』の会見が行われ、ソーキンが自身の監督スタイルについて語った。

 ハリウッドの大物俳優や大企業のトップなど高額を賭けられる者のみが参加できる秘密のポーカールームを開いて“ポーカープリンセス”の異名をとり、全てを手に入れ、そして失ったモリー・ブルームの回顧録を基にした本作。FBIに逮捕されてからの現在と、彼女がその知性を使ってどのようにポーカーの世界でのし上がって来たのかを、ウイットに富んだ独白・セリフの応酬で描く。モリーには『ゼロ・ダーク・サーティ』のジェシカ・チャステイン、彼女の弁護士には『パシフィック・リム』のイドリス・エルバがふんした。

 モリーの回顧録を「皆さんにもお薦めします」と楽しんで読んだというソーキンだが、映画のインスピレーションを得たのは本からではなく、彼女本人に実際に会ったことからだった。「1時間程度の会合だったのだが、とても驚かされた。今まで会った中で最も賢く、クリエイティブで、強く、面白い人の一人だったから。その会合で、彼女が何を回顧録に書かなかったのかがわかったんだ」。モリーが回顧録に書かなかったいくつかのこと。彼女と話すことでその理由を発見し、それを核として脚本を書き進めていったという。

 そして今回は脚本だけでなく、初めて監督も務めたソーキンは「僕はビジュアルにおける繊細な感覚は全く持ち合わせていない。映画は観るというより聴く方だから」と打ち明け、『偽りなき者』などで知られる撮影監督のシャルロッテ・ブルース・クリステンセンを大いに頼ったと語る。彼女には、現在のシーンはしきたり通りに、過去のシーンは一つ一つの要素をエキサイティングに見せるため、編集の自由が生まれるようにたくさんの素材を撮ってほしいと伝えたそう。

 編集に関しては『スティーブ・ジョブズ』のエリオット・グレアム、『アメリカン・ハッスル』のアラン・ボームガーテンなどの実力者が参加しており、「ほとんどは脚本に書いていたものだけど、オープニングのスキーのシーン(モリーは元モーグル選手)で“シャッ”と映像が変わるようなのはエリオットのアイデアだよ。編集の人たちが『ちょっとやってみたんだけど、見せていい?』と言ってくるのが好きなんだ。だから僕の監督スタイルは、本当に才能のある人々にアイデアがあるとき、それにイエスと言うことだと思う」と振り返った。

 また、「脚本家として最も心地よいと感じるのは、四つの壁に囲まれている場所。つまり、人々が部屋で話しているのを書くのが好きなんだ。そこにいれば何に邪魔されることもないから」とソーキン。本作にも弁護士オフィスでジェシカとイドリスが早口で膨大なセリフを繰り出すシーンがあり、「セリフだけで7~9ページあるシーンでは、かなりの準備をしていないとただ暗記しているようにしか見えない。二人の準備が少しでも足りなければ、こんなに真実味のあるものにはならなかった」と彼のセリフに命を吹き込んだ俳優陣の力量をたたえていた。(編集部・市川遥)

第42回トロント国際映画祭は現地時間17日まで開催

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