連覇広島の強みは「本能」「ハッスル」 巨人史上最強助っ人クロマティが絶賛

2か月間の日本滞在でプロ野球も視察したクロマティ氏は、セ・リーグを2年連続で制覇した広島カープについて、日本野球に欠如しているという「本能」「ハッスル」の体現者だと称賛している。

ウォーレン・クロマティ氏【写真:編集部】

「ハッスル」と「絆」―G史上最強助っ人が広島を絶賛「今、一番好き」

 巨人史上最強の助っ人と呼ばれたウォーレン・クロマティ氏が、7月に宮城県石巻市で行われたリトルリーグ小学4・5年生の全国大会「MLBカップ」にゲストとして参加するために来日。16チーム、250人の野球選手に直接指導を行い、東日本大震災の被災地復興にも2年連続で貢献した。2か月間の日本滞在でプロ野球も視察したクロマティ氏は、セ・リーグを2年連続で制覇した広島カープについて、日本野球に欠如しているという「本能」「ハッスル」の体現者だと称賛している。

 1984年から90年までジャイアンツで活躍したクロマティ氏にとって、現在最も共感を覚える球団は栄光の伝統を誇る古巣ではなかった。

「私は今のNPBで一番好きなのは広島カープです。彼らのプレーが気に入っています。私は常々、選手からは自己表現をもっと見たい、感じたいと切望しています。広島の野球からはそういう部分を感じることができます。スタイル、テンポ、ハッスルというところです。私の指導方法にも近い部分を感じています。日本の現在の野球からは驚きという要素、そして、本能と呼ぶべきものが足りません。あまりに組織立っている。私は見た中での広島の野球のハッスル、そして、本能という部分は印象的でした」

 日本野球の「レベルダウン」を危惧していたクロマティ氏だが、広島には好印象を持っている。機動力を生かしたアグレッシブさ、躍動感を全面的に押し出した広島の野球に感じるものは「本能」「ハッスル」。地元米フロリダ州でスクールを展開しているというクロマティ氏の指導哲学にも合致し、琴線に触れるものがあるという。

クロマティ氏が巨人時代に大切にしたファンとの絆「今では広島に感じる」

 そして、超満員に膨れあがるマツダスタジアムのファンと球団の特別な絆も現在の野球界では稀有なものだと、元”最強助っ人”は力説する。

「私は広島カープのスタイルが好きだ。彼らの球団経営方針もね。主力はみんな若いじゃないか。彼らはファンと一体となっている印象を感じている。試合で勝った後、選手全員が整列して挨拶する時の雰囲気は最高だ。あれは素晴らしい光景だ。

 ファンは大事なんだよ。我々は君たちを愛しているんだ。必要としている。絆が何よりも大事だ。お金だけ払って試合後にはただ帰宅してもらうというのは違う。メジャーの球団は集客に苦労しているところも多い。大事なところはつながりなんだよ。僕が現役時代のジャイアンツでも感じることはできた。今では、広島にファンとの絆を感じている」

 収容人数3万3000人というマツダスタジアムのスタンドはチームカラーの真っ赤に染まる。「カープ女子」と呼ばれる女性ファンの増加も社会現象となった。町全体で優勝の祝祭が盛り上がる広島は、ジャイアンツのレジェンドの心にも深い印象を刻んだ様子だった。(Full-Count編集部)

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