条例制定とネット対策「優先実施を」 ヘイトスピーチ規制巡り川崎市議会が要望

【時代の正体取材班=石橋学】川崎市議会が20日開かれ、文教常任委員会のメンバーでつくる文教分科会でヘイトスピーチ対策の実施状況や施策展開について市当局と質疑が交わされた。議員からは人種差別を規制する条例の制定とインターネット上のヘイト対策を優先的に進めるよう求める声が相次いだ。  市は2016年12月の市人権施策推進協議会の提言を受けてヘイト対策に着手。公的施設での差別的言動を規制するガイドラインは11月に運用開始見込みだが、条例づくりは基礎調査にとどまり、ネット上の差別書き込みの削除要請は8月に試行が始まったばかり。

 共産党の片柳進氏は提言は優先審議事項として市が諮問したのを受けたものである点を強調。人種差別主義者の集会とヘイトデモが3月と7月に中原区で実行され、ネットで人権被害が拡大している現状に「『優先』にふさわしく早急に実効性のある対応をすべき」と指摘。「市の取り組みは全国から注目されている。自治体によるネット業者への削除要請は差別を受けた当事者の負担を減らし二次被害も防ぐ。法律家やこの分野にたけた専門家の団体と協力し、有効に実施されるよう要望する」とした。

 民進みらいの飯塚正良氏は同委員会の議論の中で自民、公明の両会派も規制条例が必要との認識を示していることを挙げ、「理念条例でない効力のある条例が必要というのが当委員会の共通意見。具体的な規制が必要で条例づくりは待ったなしだ」。人権施策を担う市人権男女共同参画室の人員確保を含めて取り組みを急ぐよう要求した。

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