来年度概算要求 被災地要望見送りも

©株式会社熊本日日新聞社

 8月末に締め切られた2018年度政府予算編成の概算要求に関し、熊本地震からの復興を目指す県や被災市町村が要望した財政支援のうち、各省庁が予算要求を見送り、早くも実現が遠のいた項目が出てきた。国が昨年予算措置した復興基金の存在に加え、「既存の政策で対応できている」(内閣府)などの認識があるためだ。県や市町村は財源確保のため、対応を求められることになりそうだ。

 県や被災市町村が特に行方を注目していた要望項目は、(1)復興交付金の新設(2)仮設住宅からの転居費用助成(3)木造仮設住宅の改修費補助(4)災害復旧事業の補助対象の拡充-の四つだった。このうち、使途の自由度が高い「復興交付金」は、被害が大きかった益城町や西原村、南阿蘇村が要望。東日本大震災では、公園や下水道整備など幅広い分野で、同交付金の創設によって地元自治体の実質負担がほぼゼロになった。

 ただ、熊本地震に対して、内閣府は「補助率のかさ上げなど既存の政策をフル活用して対応できている」として、要求に盛り込まなかった。

 また、県や熊本市、阿蘇市などは、仮設住宅から転居する際の費用助成を求めた。退去期限まで1年を切った仮設団地も多く、恒久的な住まいの確保を後押しするのが狙いだ。

 しかし、内閣府は「災害救助法の対象は仮設住宅入居まで」との立場を崩さず、要求を見送った。このため、県は復興基金を活用し、独自に転居費用を助成する予定だ。

 一方、県が美里町や氷川町など11市町村に整備した木造仮設住宅を公営住宅に再利用する際の改修費用については、「既存の公営住宅整備費等補助で対応できる見込み」(国土交通省)という。市町村が県から木造仮設住宅を買い取る際、改修費を含む費用の4分の3を補助する制度で、18億円(県関係分を含む)を盛り込んだ。

 また国交省は今回、道路や堤防など公共土木施設に関する災害復旧事業の補助対象に、県が要望した工事の監理業務を民間委託する費用も追加。災害復旧関係費総額418億円を要求した。同省は「小規模市町村では技術系職員が少ない。民間の力で補い、迅速な復旧につなげるために必要と判断した」と説明する。

 財務省は各省庁の要求を踏まえ、18年度予算案の編成作業に入った。県企画課は「財政力の弱い市町村もちゅうちょせずに復興に取り組めるよう引き続き国への要望を続ける。併せて概算要求に反映されなかった事業も、既存の補助制度などが活用できないか工夫し、国と協議していきたい」としている。(嶋田昇平、内田裕之、太路秀紀)

あなたにおすすめ