日米親善人形交流で派遣へ

 長崎の市民グループ「長崎親善人形の会(瓊子の会)」は、日米親善人形交流90周年に合わせて米ニューヨーク州の博物館で30日に開かれる記念イベントへ訪問団9人を派遣する。これに先立ち、会員で県被爆者手帳友の会会長の井原東洋一さん(81)が同州のコーネル大で被爆体験などを講話する。

 瓊子の会によると、1927年、米国の牧師が市民に呼び掛け、人形約1万2700体を日本の小学校や幼稚園に贈った。日本からは答礼人形として本県の「長崎瓊子」などが海を渡った歴史がある。

 イベントは「長崎瓊子」を収蔵するロチェスター市立科学博物館などが主催。「人形は人間交流」をテーマにしたシンポジウムに、同会の山下昭子会長が登壇し、長崎での活動内容を語る。訪問団は、現地の子どもたちと一緒に平和の願いを込めた絵画「キッズゲルニカ」を制作。「長崎瓊子」の展示などもある。

 井原さんは、人形交流の縁で知りあったコーネル大の宮崎広和教授(文化人類学)の依頼を受け、28日に学生らを前に講話。体験や被爆地長崎の取り組みなどについて説明する。

 20日、長崎市役所で会見した山下会長は「ロチェスターの子どもたちと絵画制作を通して、平和について一緒に考えたい」、井原さんは「米国では原爆投下は正しかったという世論が根強いが、それは誤っていると伝えたい」と話した。

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