まるで敗戦投手 MLB17球団27人の前で2勝目のハム大谷「抑えてるだけ」

日本ハムの大谷翔平投手が21日、本拠地でのソフトバンク戦に先発して6回5安打1失点で2勝目を挙げた。チームは6-4で勝利した。

ソフトバンク戦に先発した日本ハム・大谷翔平【写真:(C)PLM】

6回5安打1失点9奪三振も「いいところは、ほぼなかったですね」

 日本ハムの大谷翔平投手が21日、本拠地でのソフトバンク戦に先発して6回5安打1失点で2勝目を挙げた。チームは6-4で勝利した。

 メジャーリーグの17球団27人が見つめる中、最速は162キロをマークし、失点は上林に155キロ直球を右翼席に運ばれたソロ本塁打だけ。だが、思うように制球できずに、毎回走者を背負った。すべて変化球で9三振を奪う一方、5四球を与えた。試合後、大谷が発したコメントはまるで負け投手のようだった。

「いいところは、ほぼなかったですね。コントロールもそうですし、1個1個のボールもそう。結果的に抑えているだけで、目指している内容とは違う。チームが勝ったのは良かったですが、自分に関しては良くなかったです」

 右足首と左太もも裏の故障で出遅れ、今季4試合目の登板。「普通ならオープン戦(の時期)。でも、シーズン中なので何試合目とか関係なく、抑えられる内容を目指さないと」と葛藤する胸の内を明かした。

 これまでの登板で課題としてきた打者との駆け引きについて質問されると「真っすぐとスライダーで、ほぼじゃんけんなので」とフォークを使わなかった4回までの投球を悔やんだ。「もっと前から(フォークを)使いたかったけれど、タイミングも右バッターだったり…。もっと使えたら良かった」と振り返った。実際、5回にフォークを投げ始めると、5回と6回の2イニングで5三振を奪った。

ダメ出しの栗山監督「唯一言えるのはあんなに悪くても勝つということ」

 吉井理人投手コーチは序盤のフォーク封印について「ブルペンであまり決まってなかったからじゃないですか」と推測した。「今日は10%も思ったようなボールを投げられていないんじゃないかな。でも、ゲームでの集中力と力加減で110球近くまで投げられたのは良かった。次は本当に(球数)制限なく投げてもいいのかなと思います。体の状態を見てからですけど」と評価した。

 納得いく投球とはほど遠くても、抑えてしまうという事実が、大谷の桁違いのスケールを示している。「良くなかったですね」と開口一番に言った栗山英樹監督も「唯一言えるのはあんなに悪くても勝つということ」と潜在能力の高さに言及した。

 残り12試合で登板機会は限られる。「今日のような内容じゃなくて、しっかり締めくくれるピッチングができれば」と力を込めた大谷。最後まで目指す投球を追求し続ける。(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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