プロ野球史上初、楽天「シーズン20発トリオ」誕生はどれほどスゴイのか

今月19日、楽天のアマダーが日本ハムの上原から20号本塁打を打った。これで楽天はペゲーロ、ウィーラー、アマダーの外国人トリオがそろって20本塁打をマーク。これは史上初のことだった。

楽天・ペゲーロ【写真提供:東北楽天ゴールデンイーグルス】

楽天を支えるアマダー、ペゲーロ、ウィーラーの助っ人トリオ

 今月19日、楽天のアマダーが日本ハムの上原から20号本塁打を打った。これで楽天はペゲーロ、ウィーラー、アマダーの外国人トリオがそろって20本塁打をマーク。これは史上初のことだった。

 今季の楽天外国人打者の成績は以下(※20日時点、カッコ内は打率順位)。

ペゲーロ 110試合431打数126安打26本74点 打率.292(5)

ウィーラー 128試合497打数132安打28本74点 打率.266(16)

アマダー 115試合395打数94安打22本64点 打率.238(22)

 今季の楽天は、昨年の5位から急上昇し、現時点で3位、ポストシーズン進出をほぼ確実にしている。その中で打撃の原動力は3人の外国人選手だと言えるだろう。タイトルに絡むような選手はいないが、3人ともに長打力を発揮し、打線の中核を力強く担っている。

 NPBには、早くも創設1年目の1936年に名古屋のバッキー・ハリスなどの外国人がいた。日本のプロ野球と外国人選手は切っても切れない関係だ。1952年、NPBは外国人選手を「1球団3人まで」という制限を設けた。「外国人枠」の始まりだ。

 この時期までは日系人選手が多く、MLB選手はいなかったが、1953年、毎日オリオンズが、兵役で日本に駐留していた元メジャー投手のレオ・カイリーと契約。軍の勤務がない日だけ試合に出場し、6試合で6勝0敗防御率1.80、打っては19打数10安打を記録。ここから外国人選手ブームが起きる。パ・リーグを中心に各球団が複数の外国人選手を抱えるようになった。

助っ人野手3選手がそろって100試合以上出場したケースは?

 NPBは、1966年には「外国人枠」を2人に改定。以後、1981年には支配下登録は3人まで、試合出場は2人、1994年には支配下3人、出場3人、1996年からは支配下制限なし、出場3人、1998年からは出場4人、ただし投手、野手とも2人まで、2002年からは出場4人、ただし投手、野手とも3人までとたびたび「外国人枠」を改定してきた。3人の野手が同時に出場できたのは、1965年までと2002年以降に限られる。

 その時期に3人の野手が出場するケースは多く見られるが、3人がそろって100試合以上出場したのは今年を除くと以下の6例だけ。

〇1963年西鉄 リーグ優勝

バーマ 149試合572打数157安打19本57点 打率.274(13)

ウイルソン 127試合369打数94安打20本67点 打率.255

ロイ 145試合543打数136安打21本81点 打率.250(22)

〇1965年阪急 4位

スペンサー 123試合405打数126安打38本77点 打率.311(2)

ウインディ 127試合411打数103安打17本34点 打率.251(21)

ウォールス 108試合343打数82安打14本48点 打率.239

〇1965年西鉄 3位

ロイ 136試合504打数147安打22本77点 打率.292(7)

アグリー 115試合387打数109安打24本72点 打率.282(8)

バーマ 136試合492打数126安打18本62点 打率.256(20)

〇1966年西鉄 2位

バーマ 134試合480打数125安打23本53点 打率.260(15)

ロイ 124試合457打数119安打22本56点 打率.260(16)

アグリー 115試合338打数79安打11本30点 打率.234

〇2005年ソフトバンク 2位

ズレータ 131試合461打数147安打43本99点 打率.319(2)

カブレラ 131試合454打数135安打8本58点 打率.297(12)

バティスタ 135試合559打数147安打27本90点 打率.263(28)

〇2006年ヤクルト 3位

リグス 142試合591打数174安打39本94点 打率.294(12)

ラロッカ 103試合379打数108安打18本63点 打率.285

ラミレス 146試合603打数161安打26本112点 打率.267(27)

3人の野手が「当たり」というケースは滅多にない

 西鉄ライオンズは、中西太が衰え、豊田泰光が国鉄(現ヤクルト)に移籍してからは、ロイ、バーマ、ウイルソン(アグリー)の外国人トリオが売り物になり人気を呼んだ。1966年から外国人枠は3から2になったが、1966年は経過措置として西鉄だけが特例が認められ、3人が出場した。

 2002年に外国人野手枠が「3」に広がってからも昨年まで2例しかない。3人そろって100試合以上は上記の6例だが、3人とも規定打席に達したのは1965年、2005年の2度だけ。今年は史上3例目となる。枠が広がっても3人の野手が「当たり」というケースは滅多にないのだ。

 1963年の西鉄は、バーマがあと1本打っていたら3人そろって20本をクリアしていた。20本に迫った例は結構あるが、3人そろってはクリア今回が初。いろいろな意味で今年の楽天は、非常に珍しいケースだと言えよう。

 楽天の外国人トリオは、大型選手そろい。アマダーはNPB史上最重量の135キロ、ペゲーロ119キロ、ウィーラー100キロ、3人の大男の動きは、ユーモラスで、スタンドから笑いが起こることもある。彼らも楽天の「目玉商品」だと言えるだろう。外国人大男3人組は、ポストシーズンも活躍するだろうか。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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