JFEシビル、建築向け耐震・制振部材を拡販 20年度売上高、5割増目指す

 JFEシビル(社長・藤井善英氏)は耐震・制振デバイス(部材)を拡販する。JFEスチールなどと共に積極的な製品開発を行っており、ユーザーのニーズに則した製品ラインアップを拡充。存在感を着実に高めている。増加傾向にある新築向け需要の捕捉に向け営業マンを増員するなど社内体制を強化し、今年度はデバイス製品の売上高20億円、20年度には17年度比5割増となる30億円を目指していく。

 同社はJFEグループの耐震・制振部材を一元的に取り扱う。ブレース型、間柱型、壁型の3タイプを商品化しており、主力の二重鋼管座屈補剛ブレースは94年の販売開始以来、累計1300件、3万5千本が採用されている。直近では今年4月オープンの「GINZA SIX」(東京都中央区)に187本が採用。従来の事務所ビルのほか大型物流倉庫での採用も拡大している。また、高性能座屈拘束ブレース「J―UPブレース」は国土交通省の「超高層建築物等における南海トラフ沿いの巨大地震による長周期地震動への対策について」で昨年示された長周期地震動にも対応できる変形性能に優れた製品。今後需要の伸びが期待される長周期地震対策向けに営業展開を行う。

 間柱型では従来の「JFEの制振間柱」に加え、ブリヂストンやJFEスチールと共同で開発した「間柱型粘弾性ダンパー」を今年から新たに販売。風揺れなどの微小な振動から大地震まで幅広く揺れを低減できる特長を有する。従来のオイルダンパーなどに比べコストを抑制できメンテナンスも不要で、集合住宅やホテルなどへの適用に向け営業を強化していく。

 今後、開発面では長周期地震対策のほか、二方向地震力への対応などを大学などと共同で進め付加価値をさらに高める。鋼材系と粘弾性系のハイブリッド製品を早期に開発するなど、商品力を強化し差別化を図っていく。営業面では営業体制の強化に加え、JFEスチールや鉄鋼商社と組んだ拡販も進める。また、海外でも台湾からの引き合いが増えており、売上比率を10%以上に拡大したい考え。

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