「友達みたいな夫婦」が離婚の危機に陥る瞬間

友達みたいに仲良しの夫婦でも、あるとき急に離婚してしまうケースもあります。どんなときに離婚の危機が訪れるのでしょうか。

亭主関白型、おしどり夫婦型、世話焼き女房主導型、年の差婚型……夫婦のあり方は千差万別。みなさんのご夫婦は、どのようなタイプでしょうか? ここでは、最近になって増えてきている友達みたいな夫婦、いわゆる「友達夫婦」について、離婚の可能性や修復への対策法などを考えていきましょう。

目標がズレてしまったときが最大のピンチ

夫婦円満の秘訣のひとつには、日頃からお互いが何を考えて、どう思っているのか、その胸の内をわかり合おうとすることがあげられます。その点でいえば、友達夫婦の場合はお互いの格差や距離感が少ない分、ふたりが向いている方向や共通の目標が同じであるケースが多いもの。したがって、感覚的にわかり合えることもたくさんあり、仲良しでいられるわけです。

ところが、長く一緒に暮らしていれば、日常のさまざまな出来事がきっかけで、お互いが向いている方向や同じだったはずの目標がズレてしまうこともあります。そんなときは、友達夫婦にとっても離婚のきっかけとなるピンチといえます。

相手にとって、今まで見てきたのと違った一面を発見することは「ちょっとした裏切り」となり、「こんなに理解し合えていた私たちなのに、なぜスキマができてしまったのだろう」と普通の夫婦以上にダメージを大きく感じてしまうのも特徴です。

ですが本来、夫婦は違っていて当然。他人が一緒に暮らしていくのですから、何から何までピッタリくるようなことはあり得ないと思っていて正解。いくら友達夫婦だからといって、いつでも仲良しということはあり得ないのです。ですから、「仲良しでなければいけない」という強迫観念は持たなくても大丈夫、普通の夫婦となんら変わりはありません。ケンカだってしていいし、ときには意見の違いから言い争いだって起きるものなのです。

友達夫婦であっても「以心伝心」に頼らない!

そして、忘れてはならないのが、友達夫婦はほかの夫婦に比べて以心伝心能力が高いため、「夫婦としての危機感のなさにつながる」ということでしょう。「言葉にして言わなくても理解し合えている」「確認しなくても愛情は伝わっている」といった過信が招く夫婦の危機もあります。

もしも、挨拶以外の会話はしなくても大丈夫、と思っているならば今すぐ意識を変える必要があるでしょう。「以心伝心」と高をくくっていては、離婚の危機に直面する可能性も否定できません。「夫婦なのにわざわざ……」ではなく、「夫婦だからこそ」当たり前のことを大切にすることが必要です。

ですから、ときどきはお互いの考え方の確認や擦り合わせをするための時間を持ちましょう。

感謝の気持ちはできるだけ具体的に伝えて

離婚の危機を防ぐには、とにかく「夫婦間のコミュニケーションを密にすること」が第一です。とくにおすすめしたいのが、相手に感謝の気持ちを伝えるというもの。

ですが、実際に夫婦間であえて言葉にして感謝の気持ちを伝えるのは照れくさいし、恥ずかしいと思う人もいるでしょう。まして友達夫婦の場合、日頃からふたりの距離が近いため、余計にためらってしまうかもしれません。

ですが、夫婦の絆を強固なものにするためには、感謝の気持ちをしっかりと言葉にして伝える必要があります。そして相手の心により深く想いを届けるためには、単に「ありがとう」というよりも、もっと効果的な方法があります。それが、「感謝している事柄をできるだけ具体的に伝える」という方法です。

たとえば、生活費の大半を夫に稼いでもらっているならば、「あなたが毎月ちゃんと働いてくれているからこそ、今夜もこうしておいしいものが食べられるのね。ありがとう」でOK。

また、子煩悩な夫に対しては、「いつも子どもとしっかり向き合ってくれているから、素直な子に育ったのね。ありがとう」というように、「~だから、ありがとう」「~してくれて、ありがとう」というように、相手にどのような点で感謝しているのかを伝えるようにします。

すると、相手にも「自分は家族にとって役に立っているんだ」という自覚が改めて生まれ、夫婦を大切にしようという気持ちに向かうのです。

友達夫婦だからこそできる「離婚防止策」とは?

また、もしも「もうこんな人とは暮らしていかれない」「同じ家に住んでいるのも耐え難い」と思い詰めてしまったときに、離婚を思いとどまらせる方法もあります。それは、「パートナーと出会ってからの思い出を整理する」というシンプルな方法です。

交際をしているとき、結婚を決めたとき、新婚生活のとき……友達夫婦だからこそ、ほかの夫婦にはない楽しかった思い出がたくさんあるはずです。同じ目線で笑ったこと、小さなケンカをしたこと、仲直りしたこと……など、ふたりにしか思い出せない出来事がたくさんあるはずです。

そんな思い出をひとつずつ丁寧に思い出していくことで、それらが自分たち夫婦の歴史の大事な一部になっているということを意識しましょう。

その次に「もしも、このまま別れてしまったら、これからは別々の歴史をお互いにつくっていかなければならないんだ」と考えてみてください。そこで「さびしい」と思えるなら、修復の可能性は高く、自分の気持ちに素直になりましょう。「お互いに幸せになるためには別の道がある」と思うなら、納得のいくまで話し合って新しい道を選べばいいのです。

友達夫婦だからこそ、ほかの夫婦には真似のできない強いつながりや一体感があるはずで、だからこそ離婚をしてしまうのはとてももったいないことです。また、友達夫婦にしかできない解決法もまだまだあるはずです。一過性の感情で離婚を決めてしまう前に、お互いの幸せのためにもう一度よく話し合ってみることをおすすめします。

(文:岡野 あつこ)

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