日常、芸術に見立て 鈴木さん、彫刻の森で個展

 何げない現象を日本文化である「見立て」という鋭い感覚で現代的に作品化する鈴木康広さんの大規模個展「始まりの庭」が来年2月25日まで、箱根町二ノ平の彫刻の森美術館の本館ギャラリーなどで開かれている。

 鈴木さんは1979年に浜松市で生まれ、現在武蔵野美術大准教授。2010年の瀬戸内国際芸術祭で、船の航跡をファスナーに見立て、海を船が開いていくように見せた「ファスナーの船」を実際に海上で走らせて話題を呼んだ。

 今回の個展には、新作11点を含む71点を展示。銅管から落ちる水滴の波紋が一瞬の年輪をつくる作品「水の切り株」などを配した「空気と水の庭」や、03年に発表した「まばたきの葉」などこれまでの代表作などが紹介されている。

 「まばたきの葉」は、木の幹に見立てた筒から紙の葉が吹き出す仕組み。葉の表と裏にはつぶった目と開いた目が描かれ、くるくる舞い落ちる状態を「まばたき」に見立てており、子どもから大人まで立ち止まって楽しんでいた。

 年中無休。大人1600円、高校・大学生1200円、小中学生800円。問い合わせは、同館電話0460(82)1161。

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