三菱商事出資の南ア・フェロクロムメーカー、会社更生手続き開始へ 市況低迷などで財務悪化、自力再建断念

 三菱商事が5割強を出資する南アフリカのフェロクロムメーカー、ハーニック・フェロクロム社が自力での経営再建を断念し、会社更生手続きの開始を申請することになった。フェロクロム市況の低迷が長引く中、電力料金上昇などによるコストアップが響き、今後も収益改善が見込めないと判断した。三菱商事は22日、ハーニックの経営破綻による2018年3月期業績への影響は軽微と発表した。

 ハーニック社はクロム鉱石の採掘からフェロクロム生産までを手掛ける有力メーカー。三菱商事が53・8%出資する筆頭株主。フェロクロムの年産能力は約40万トンで、16年は35万7千トンを生産、主に欧州市場などに販売している。

 三菱商事によると、会社更生手続き開始後も生産・販売は継続する。

 フェロクロムはステンレス・特殊鋼の原料となる合金鉄。クロム鉱石の埋蔵量が豊富な南アはクロム鉱石やフェロクロムの有力供給国。しかし最近は、最大の需要国である中国でのフェロクロム増産などを背景に需給環境が悪化。これに伴う国際価格の低迷に加え、南アでは電力料金の上昇が深刻となり、同国のフェロクロムメーカーの採算は極端に悪化していた。

 ハーニックは業績を明らかにしていないが、厳しい財務状況が続いていたもようだ。

 三菱商事は2000年にハーニックに出資。02年には出資比率を5割強に引き上げ、経営にも参画していた。

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