DTM第16戦:勝利目前でグリーンがまさかの失速。ラストが3勝目、エクストロームは王者に前進

 DTMドイツ・ツーリングカー選手権第16戦がオーストリアのレッドブルリンクで開催。24日に行われた決勝レースは、レネ・ラスト(アウディRS5 DTM)が今季3勝目を挙げた。

 前日の第15戦でポールポジションを獲得したジェイミー・グリーン(アウディRS5 DTM)がこの日も速さを見せ1分21秒955でポールを獲得。ラストも0.055秒差で2番手に。3番手は前年の王者マルコ・ウィットマン(BMW M4 DTM)が入る。

 迎えた決勝レース。グリーンは好スタートを見せトップをキープし、ラストも続く。4番手のマイク・ロッケンフェラー(アウディRS5 DTM)に並ばれたウィットマンもなんとか3番手を死守。前の2台についていく。

 第15戦を勝利したマティアス・エクストローム(アウディRS5 DTM)は8番手スタートながら1周目でピットイン。早めのピット作戦を選択する。

 ウィットマンにアタックを続けていたロッケンフェラーは9周目にようやくオーバーテイク。アウディ勢がトップ3となる。ウィットマンは9周目終わりでピットインへ。コースを復帰すると、今度はエクストロームが襲いかかる。

 チャンピオン争いのライバルよりも前でゴールしたいウィットマンは、エクストロームと激しいポジション争いを繰り広げる。その攻防を見たトップのグリーンは12周目終わりでピットインへ。2台にリードを付けてコースへ復帰する。

 ラストは14周目終わりでタイヤ交換へ。しかし、鼻先でグリーンに先行されてしまう。その翌周にロッケンフェラーもピットイン。ウィットマンの前、実質3番手でピットアウトする。

 ロッケンフェラーはスピードが伸びず、ウィットマン、ニコ・ミューラー、エクストロームと立て続けに抜かされトップ争いから後退してしまう。

 残り18分、全車がピットインを終え、グリーンがトップに浮上。2番手にラスト。3番手は、21周目にウィットマンを交わしたミューラーが上がる。

 27周目、ロッケンフェラーがエクストロームをオーバーテイク。さらにその勢いで4番手のウィットマンに襲いかかる。

 しかし、その翌周にブルーノ・シュペングラー(BMW M4 DTM)にヒットされたルーカス・アウアー(メルセデスAMG C63 DTM)がクラッシュし、セーフティカーが導入される。

 残り9分となった32周目にレースは再開。リスタートでウィットマンが遅れロッケンフェラーが4番手に浮上する。

 トップをキープするグリーンだったが、残り2分を切った37周目にラストとサイド・バイ・サイドに。なんとか死守したグリーンだったが、突如スローダウン。二日づづけて目前で勝利を逃す結果に。

 ラストはそのままミュラー、ロッケンフェラーを従えトップでチェッカーを受け今季3勝目。アウディは二日続けて表彰台を独占した。

 終盤、エクストローム、ウィットマンを交わしたゲイリー・パフェット(メルセデスAMG C63 DTM)が4位に入った。

 ギヤシフトにトラブルが出て勝利を失ったグリーンは、「本当に悲しかった。何もできなかったよ。今日は僕の日ではなかったんだね。2年前のシュピールベルグでも同じことが起きた。今日のようにリードしていたけど、突然ギヤ交換ができなくなったんだ」と悔しさを語った。

「僕たちはレースをコントールしたけど、セーフティカーによってすべてが変わってしまったね。タイトル争いは、これまで以上に大きな差になっているけど、まだ多くのことが起こる可能性があるよ」とラストはコメントしている。

 チャンピオン争いは、ポイントリーダーのエクストロームが5位に入り10ポイントを追加し172ポイントに。ランキング2位は、勝利を挙げたラストが浮上。エクストロームとの差は21ポイント差だ。

 勝利を逃してしまったグリーンが137ポイントでランキング3位。ロッケンフェラーとウィットマンが134ポイントと同ポイントで続いている。

 ランキング7位のティモ・グロック(BMW M4 DTM)まで計算上ではタイトルの可能性を残し、最終ラウンドとなるホッケンハイムでの2戦を迎える。

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