<みやぎ考>介護受難 瀬戸際の高齢者福祉(中)先細る人材養成

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車いすバスケットを通し、福祉に関わる仕事の魅力を伝えた「ふくしわいわい祭り」=仙台市青葉区

 宮城県内の介護現場が深刻な悪循環に陥っている。慢性的な人材不足が続く介護職、受け入れ環境が満足に整わない施設、入居先が見つからずに漂流する高齢者。ついのすみかを求め、県外の空き施設に年老いた家族を送り出すケースが少なくない。介護の若い担い手も減少し、高齢者福祉の先行きに暗雲が立ち込める。(報道部・桐生薫子)

◎魅力向上と発信に腐心

<悪い印象払拭を>

 仙台市内で唯一、福祉系学科を持つ青葉区の明成高は8月26日、「ふくしわいわい祭り」を初めて開催した。車いすバスケットや盲導犬との触れ合い体験などを通し、介護職の魅力を来場者にアピールした。

 音楽に乗って手話ダンスを披露した介護福祉科2年の小松さくらさん(16)。知的障害のある弟が学校でいじめられているのを目の当たりにし、「介護福祉士の資格を取って弱い立場の人を守る仕事がしたい」と進学先に選んだ。

 授業で福祉施設を訪れると、当初は驚きの連続だった。現場の介護士は自分の意思を表現できない高齢者や障害者に寄り添い、食事の量や入浴、排せつ補助を的確に施していた。

 小松さんは「ちょっとした表情やしぐさを読み取りながら、一人一人お世話する介護職はすごい。過酷な仕事と思われがちだけど、私たち若者が悪いイメージを払拭(ふっしょく)したい」と希望を胸に抱く。

<多くが定員割れ>

 県内で介護士を養成する大学・専門学校10校は今年4月、ほとんどが定員割れに見舞われた。充足率は全体で4割にとどまる。

 昨年7月に相模原市の障害者施設で起きた殺傷事件が介護現場に対する負のイメージを広げた影響も加わり、担い手不足を助長する要因になっている。

 明成高の介護福祉科も今春、定員80人に対して新入生はわずか13人にとどまった。同科の榎本寿美代部長は「核家族化や地域活動の減少で高齢者が身近におらず、介護を就職先として意識する機会が減っている」と分析する。

 同校は志願者を増やそうと、卒業生と介護を語り合う研究会を設置し、本年度から地域の高齢者を対象にした介護予防教室を開催。榎本部長は「学校外での活動を増やし、福祉に携わることの魅力を発信し続けるしかない」と話す。

 介護の関係者が集まり、7月にあった明成高での会合。仙台大(宮城県柴田町)の大山さく子教授は「介護士の資格を持ちながら、現場に就職しない事例も増えている」と報告した。

 同大の健康福祉学科を今春卒業した学生のうち医療福祉関係への就職は18%。教育関係、一般企業を下回った。介護職を志望して入学したが、現場実習後に断念する学生もいるという。

 大山教授は「高校生や大学生へのアプローチでは遅く、義務教育から福祉の大切さを伝える必要がある。保護者や先生の意識改革も不可欠だ」と強調する。

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