東海カーボン、米電極メーカー買収 昭和電工から129億円で。電炉用電極、世界3位グループに

 電炉用黒鉛電極大手の東海カーボンは28日、ドイツの同業大手SGLカーボンの電極事業買収を予定している昭和電工から、SGLの米電極子会社を買収すると発表した。昭和電工の買収完了後にSGLの米子会社の全株式を129億円で取得する。東海カーボンは日本、ドイツに続き米国にも製造拠点を確保。電極の年産能力は現行の6万6千トンから9万6千トンに増加、世界3位グループに浮上する。

 同日会見した東海カーボンの長坂一社長は買収の狙いについて「電炉鋼の生産が多い米国は将来も電極の有望市場で、そこに拠点を持つ意味は大きい」と述べた。また今年に入ってマーケット環境が好転したことも買収に踏み切った一因と説明した。

 SGLはドイツに本拠を置き、欧州や米国、アジアなどで電極事業を展開する。昭和電工は昨年10月、SGLの電極事業の買収で合意。その後、各国の独禁当局による審査が行われてきた。このうち米国では、昭電の米市場でのシェア上昇を問題視した商務省が米事業の分離を承認の条件としたため、SGLの米事業について東海カーボンへの譲渡が浮上した。

 昭電は10月2日にSGLの電極事業会社の買収を完了。その上で東海、昭電間で米事業の譲渡契約を締結。東海の買収完了は11月上旬となる見込み。

 東海が買収するSGL・GEカーボンはケンタッキー州の工場で上工程を製造。半製品をアーカンソー州の工場に送り電極に仕上げている。最終製品ベースの年産能力は3万トン。

 東海の電極生産能力は現在、日本(2工場)、ドイツ(1工場)の3拠点で年間6万6千トン。米工場の買収後は9万6千トンに増加。昭電(約26万トン)、米GTI(約19万トン)に次ぐ3位グループに浮上する。

 東海は現在、米国市場向けに電極を日本、ドイツから輸出している。径26インチ以上の太径電極、接続用のニップルは引き続き日本から輸出するが、最も需要が多い24インチ品などは今後、米国生産に切り替える。長坂社長は「当社とSGLのよいところを合わせて、コスト競争力を高めていきたい」と述べた。

 SGL・GEの2016年12月期の最終損益は2690万円の赤字。電極マーケットの低迷が影響した形だが、同マーケットは今年に入り、一転して上昇局面に入っている。長坂社長は「来期は確実に黒字化できる」との見通しを示した。

© 株式会社鉄鋼新聞社