金属行人(10月4日付)

 すっかり雰囲気は秋になった。体育の日を含む今週末からの3連休。運動会やお祭りなどイベント開催のハイシーズンで、各地の製鉄所でも地域貢献の一環として幾つか行事が催されるのではないだろうか。筆者自身、社会人になり家族ができると、紅葉を観賞するようなのんびりしたものではなく、秋はとにかく忙しく、慌ただしい季節になった▼さて、鉄鋼業界。需要期に入り、メーカー値上げを背景にした価格上昇局面を迎えた。ただ、どうしてだろうか。どことなく盛り上がりに欠けるような気がしてならない▼そう思わせる理由の一つは社会情勢の不安定さではないか。北朝鮮の核開発に始まり、どうして三つどもえの争いになったのかと思う衆院選がある。米国ではまた銃乱射事件が起こった。これらは鉄鋼業界を直撃するものではない。しかし、不安感を募らせる出来事は景気の先行きに対する期待もそいでしまう。関係者に値上がりを信じ切れないとの思いを抱かせるのかもしれない▼ただ、中国の鉄鋼再編は予想よりもうまくいっているようで、久方ぶりの「ナイモノ高」の兆候もある。中国の供給過剰は10年間以上の鉄鋼不況を招くとも言われていたはずだが、早くも鉄鋼業は明るさを取り戻しつつある。この明るさが少しずつ広がっていくことに期待したい。

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