書店がイシグロさん特集

 ノーベル賞作家の本を読んでみたい-。長崎市内の書店や図書館では、イシグロさんの著書を求める市民が続々と訪れた。

 同市尾上町のメトロ書店本店では、特設コーナーに受賞を伝える新聞記事を張ってPR。15冊ほどあったイシグロさんの著書は、洋書をのぞいて売り切れ、注文を受けた。大束美紗子副店長(30)は「予想以上の反響があり、増刷待ち。もともと人気のある作家。幅広い層に知ってもらえて喜ばしい」と話した。

 同市浜町の好文堂書店にも注文が続々。同市西山台1丁目の藤田文代さん(65)は「本は作者の人柄が出る。イシグロさんが誠実で謙虚な人と知り、絶対に読んでみたいと思った。こんなことは初めて。2冊注文したが作品は全部読むつもり」と笑顔をのぞかせた。

 同市興善町の市立図書館では、特集展示コーナーにイシグロさんの関連図書など約40冊を並べ、「歴史的出来事」に素早く対応。来館した同市大浦町の男性(66)は「最高だ。イシグロさんの感性の芽を養った長崎の風土が良かったからでしょう」と語った。

 同市立山1丁目の県立長崎図書館では、開館と同時に7、8人が訪れ、15冊前後あったイシグロさんの小説は、1冊を残して貸し出されたという。来館した同市小江原3丁目の男性(66)は「彼の小説は端正な日本語で、静かな文章の中に感情の高まりが生まれる。翻訳した人も素晴らしい」と話した。

© 株式会社長崎新聞社