西武山川“3冠王”、楽天最下位…データで見るペナントレース終盤戦【パ編】

パ・リーグのペナントレースは、8日の試合を含めて残り4試合。半年に及ぶ長丁場の戦いは、いよいよ大団円を迎える。

西武・山川穂高【写真:編集部】

8月以降の成績を限定すると、新たに見えるペナントレースの顔

 パ・リーグのペナントレースは、8日の試合を含めて残り4試合。半年に及ぶ長丁場の戦いは、いよいよ大団円を迎える。

 ほとんどのチームで、開幕当初と比べるとレギュラー選手、主力選手の顔ぶれが大きく変わった。前半戦に活躍した選手の中には、後半に姿を消した選手もいる。それとは対照的に、後半から調子を上げた選手もいる。

 8月以降に限った成績を抜き出してみると、シーズン前半とは驚くほど違う顔ぶれの活躍が浮かび上がってくる。

○パ・リーグ 8月以降の各チームの勝敗

ソフトバンク(48試32勝16敗0分、勝率.667)
日本ハム(49試26勝23敗0分、勝率.531)
西武(52試27勝24敗1分、勝率.529)
ロッテ(50試24勝25敗1分、勝率.490)
オリックス(51試23勝28敗0分、勝率.451)
楽天(54試18勝34敗2分、勝率.346)

 ソフトバンクは春先からずっと強かったが、8月以降に限れば日本ハムがそれに次ぎ、西武までが5割以上。楽天は断トツの最下位だった。梨田監督も「前半戦と後半戦は別のチーム」と言ったが、数字でもそれがはっきり現れている。楽天は前半戦の貯金があったからこそ、辛うじてポストシーズンに進出できたと言えそうだ。

○8月以降の打率10傑

山川穂高(西)184打数60安打 19本47点0盗 率.326
荻野貴司(ロ)194打数62安打 5本16点21盗 率.320
吉田正尚(オ)177打数56安打 9本30点1盗 率.316
秋山翔吾(西)213打数65安打 7本31点5盗 率.305
角中勝也(ロ)179打数54安打 7本32点3盗 率.302
明石健志(ソ)159打数47安打 1本11点2盗 率.296
外崎修汰(西)178打数52安打 2本18点9盗 率.292
マレーロ(オ)176打数50安打 13本31点0盗 率.284
源田壮亮(西)210打数59安打 0本22点10盗 率.281
中村奨吾(ロ)182打数51安打 6本20点10盗 率.280

 打率1位は西武の山川穂高。山川は本塁打、打点も1位で、8月以降に限れば“3冠王”だった。西武が楽天を抜いて2位を確保する上で、山川の貢献度は極めて高かった。

 続いてロッテの荻野が打率2位、安打数1位、盗塁数も1位と躍進した。荻野は故障が多い選手でフルシーズン活躍することは稀だが、後半戦に限ればトップクラスだった。

 前半戦は全休だったオリックス吉田正尚も後半戦に大活躍した。

 山川、荻野、吉田の3人は、ともに今季は規定打席に達していない。しかし、後半戦は彼らが主役だった。

8月以降に活躍した投手は…

○8月以降の先発投手勝ち星5傑

菊池雄星(西)9戦6勝2敗 68回 82K 防御率1.99
東浜巨(ソ)8戦6勝2敗 47回 39K 防御率3.45
バンデンハーク(ソ)9戦5勝2敗 56.1回 66K 防御率3.04
野上亮磨(西)9戦5勝3敗 55.2回 53K 防御率3.46
高梨裕稔(日)6戦4勝0敗 41回 33K 防御率3.29
酒居知史(ロ)8戦4勝1敗 56回 36K 防御率3.05
石川柊太(ソ)11戦4勝1敗 35回 31K 防御率5.66
千賀滉大(ソ)9戦4勝2敗 60.2回 65K 防御率2.52
金子千尋(オ)9戦4勝2敗 62.1回 61K 防御率2.89
山岡泰輔(オ)10戦4勝4敗 60.1回 54K 防御率4.77
則本昂大(楽)9戦4勝5敗 70.2回 69K 防御率2.04
有原航平(日)9戦4勝5敗 62.2回 45K 防御率4.60

 ハーラーダービーで競り合い、ともに最多勝を確実にした菊池と東浜が6勝2敗で並んでいる。しかし、両者の防御率、奪三振には大きな差が出た。東浜の勝利は打線の援護が大きかったが、菊池は自分の力で勝ち星を稼いだと言えよう。

○8月以降のセーブ数5傑

サファテ(ソ)24戦21S0H 23.1回 36K 防御率1.54
増井浩俊(日)19戦11S3H 19.2回 34K 防御率3.20
平野佳寿(オ)19戦10S1H 19回 20K 防御率1.89
内竜也(ロ)18戦9S1H 17回 13K 防御率5.29
増田達至(西)20戦7S1H 20回 19K 防御率1.80

 セーブNPB新記録をマークしたサファテが圧倒的な21セーブを挙げた。ソフトバンクの後半戦の独走を支えたのはサファテの働きがあったからこそだ。

 楽天は松井裕樹の故障離脱の間、福山がクローザーに回ったが、2人合わせて7セーブ。チーム不振を反映している。

○8月以降のホールド数5傑

近藤大亮(オ)29戦0S16H 23.1回 41K 防御率2.83
岩嵜翔(ソ)24戦1S15H 19.2回 23K 防御率2.63
マーティン(日)16戦0S15H 19回 12K 防御率0.00
モイネロ(ソ)22戦1S13H 17回 20K 防御率3.66
松永昂大(ロ)19戦0S11H 20回 15K 防御率3.46

 オリックスの近藤が16ホールドで1位、日本ハムのマーティンは16登板で無失点だった。両チームともにポストシーズンに届かなかったが、これらのセットアッパーは来季に向けて期待できる。

 ソフトバンクは岩嵜、モイネロがまずまずの活躍を見せた。

 後半戦から活躍した選手は、オールスター戦に選ばれることはなく、規定打席や規定投球回数に達しないことが多い。シーズン成績として評価されない場合が多いが、貢献度は非常に高いことがわかる。こういった選手たちは「来季こそはフルシーズンで」と意気込んでいることだろう。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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