昭和電工、電炉用黒鉛電極事業のドイツ社買収完了 20年めど、統合効果年40億円狙う

世界シェア首位、3割強に

 昭和電工は6日、独SGLカーボンの電炉用黒鉛電極事業の買収を2日付で完了したのを受けて、森川宏平社長とカーボン事業部長の高橋秀仁常務執行役員が都内で会見した。森川社長は、買収による統合効果を年間40億円とし、2020年をめどに効果を実現したいと述べた。また、買収を機に電極事業の利益水準を年間100億円規模に引き上げる目標を打ち出した。

 昭和電工は2日付で、SGLの電極事業子会社SGL・GEの完全子会社化を完了。米独禁当局の審査を経て、SGLの米国事業を東海カーボンに譲渡するが、アジア、欧州、米国の3拠点で年間25万トン(世界シェア30%強)の生産能力を持つ世界トップ企業に躍り出る。

 森川社長は会見で、世界市場でトップシェアを持ち、10%を超える売上高営業利益率を安定して確保できる事業を『個性派事業』と位置付けた上で、「電極事業も個性派事業にふさわしい事業にしたい」と強調した。

 昭和電工とSGLの電極事業の合算売上高は17年12月期で600億円強の見込み。損益も「収支トントン」(森川社長)だが、統合効果の早期実現などを通じ、2、3年後に売上高1千億円、営業利益100億円を達成したい考えだ。

 統合効果の40億円については、管理部門の集約、製品のグローバル・チェーンの最適化、原料の購買力強化などを通じて実現する方針。

 SGLの買収をめぐっては、米国の独禁当局が米事業の分離を条件に企業結合を認めたため、年間約3万トンの能力を持つSGLの米拠点は東海カーボンに譲渡する。SGLと合意した昨年10月時点から1年弱がたち、電極市場は現在、極端な品薄状態となったことで、譲渡する米事業の評価額は大幅に上昇した。

 森川社長はこの点に関連して、「投資資金の回収が早まることは間違いないが、統合後のコスト管理がしっかりできないと、買収は成功したとはいえない」と述べ、統合効果の早期実現に全力を挙げる考えを示した。

 また、米国での事業展開についても、昭和電工の既存の生産拠点で増強工事を進めているとし、「大きな影響はない」と述べた。

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