起立性調節障害 思春期に急増、理解大切

 朝起きられない、立っていると気分が悪い、全身がだるいなどの症状が出る起立性調節障害。不登校になったり出勤できなくなったりすることもありますが、決して怠けているのではなく、あくまで病気と理解することが大切です。起立性調節障害に詳しい埼玉医科大神経内科助教の光藤尚医師(熊本市出身)に聞きました。(高本文明)

 -起立性調節障害では、どんな症状がありますか。

 「ふらつき、立ちくらみ、めまい、動悸[どうき]、頭痛、顔色不良、疲れやすい、全身倦怠[けんたい]感など、さまざまです。こうした症状が午前中に強く現れ、午後は回復、夜は元気になり眠れないことが多いです。天候や季節により症状の程度が違うこともあり、約半数に不登校が伴うとされています」

 -原因は何でしょうか。

 「自律神経の働きやバランスが悪くなり、起きたり立ったりしたときに脳などへの血流が低下して、血圧が下がるために起きます。自律神経失調症の一種です。心身が急激に変化する思春期に起きやすく、小学校高学年から増え中学で急増します。遺伝的な体質やストレスが影響するといわれます」

 -発症の頻度は。

 「中学生の約10%、小児科を受診する中学生の約20%を占めるとされており、その頻度は近年上昇しています。女子にやや多く見られます。ただ、20~30代でも発症します」

 -どのように診断しますか。

 「日本小児心身医学会のガイドラインでは、起立性調節障害と診断されるのは、(1)立った際に一時的に下がる血圧の回復に25秒以上かかる(2)立ったときの心拍数が1分間に115以上か立つ前より35以上増える(3)起立中に突然血圧が下がり意識の低下、消失が起きる-などの場合です」

 「さらに心理面を調べることも必要です。ガイドラインは(1)学校を休むと症状が軽くなる(2)身体症状が再発・再燃を繰り返す(3)気にかかっていることを言われると悪化する-など6項目のうち4項目が週1~2回以上見られる場合、心身症としての起立性調節障害としています」

 「気のせいとか精神的な問題、怠け癖や夜更かしなどと誤解されやすいのですが、あくまで体の病気です。ここをよく理解していただきたいです。周囲の理解がとても大切なのです」

 -どんな治療をしますか。

 「毎日の運動や、血圧低下を防ぐ弾性ストッキング、水分と塩分を十分に取るなどの非薬物療法や、血圧を上げるミドドリンや頻脈を改善するβ-遮断薬など、薬物療法があります」

 「また、漢方薬も起立性調節障害には有効です。東日本大震災後にストレスから発症し、補中益気湯と五苓散が有効だった女性たちの例があります」

 -起立性調節障害は、脳脊髄液減少症とよく似ていますね。

 「起立性調節障害は、(1)起立直後性低血圧(2)体位性頻脈症候群(3)血管迷走反射性失神(4)遷延性起立性低血圧-の4つに分類されます。特に体位性頻脈症候群では、頭痛を訴える患者さんが多いです。成人の起立性調節障害は頭痛を訴えて外来を受診する場合が多くあります」

 「激しい運動や事故などで髄液が漏れ出す脳脊髄液減少症でも、頭痛は主な症状です。頭痛を訴えて脳脊髄液減少症ではないかと受診する患者さんも多いのですが、体位性頻脈症候群であることも少なくありません。体位性頻脈症候群をはじめとする起立性調節障害との鑑別診断がとても重要です。早期に受診し適切な診断を受けて、早期に治療を始めることが大切です」

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