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障害者のアート、支える輪 アール・ブリュット展覧会

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アール・ブリュット展覧会に特別展示されたジャン・デュビュッフェの石版画。奥は展示作家のちぎり絵=熊本市

 熊本県内の障害者らによる独創的な芸術作品を集めた「アール・ブリュット展覧会」(県立美術館で開催中)が3年目を迎えた。「熊本が育んだ魂の表現」をキャッチフレーズにした展覧会開催から作家の発掘まで、市民団体が草の根的に創作活動を支援する試みは全国的に珍しく、「熊本方式」として注目を集めている。(岩下勉)

 「すごい」。熊本市の県立美術館内の会場で、驚くほど細かい描写や独特の色使いの絵画など21人の作家の120点に、来場者が思わず声を上げる。3日の開幕以降、連日200人以上が訪れているという盛況ぶりだ。

 今回は登録作家50人の中から、元北九州市立美術館学芸員の真武真喜子さんが初めて展示作家を選出。真武さんは「世界に出せるレベルの作家が、熊本にこれだけいることが驚きだった」と話す。

 アール・ブリュット(生[き]の芸術)とは、フランスの画家ジャン・デュビュッフェ(1901~85年)が提唱者で、美術の専門教育を受けていない人が、自身の衝動のまま表現した芸術と解釈される。今回の展覧会では、同館が所蔵するデュビュッフェの石版画10点も特別展示。県内の作家たちと提唱者の“共演”も実現した。

 展覧会を主催する市民団体「アール・ブリュット・パートナーズ熊本」(西島喜義会長)は、2014年に熊本市現代美術館で開催された「アール・ブリュット・ジャポネ」展に山鹿市の会社員松本寛庸さん(25)の作品が選ばれたのを機に設立された。

 福祉や医療、行政、美術など幅広い分野の160人が会員となり、国や県、企業などの補助・助成金を活用して、15年から年1回の展覧会を開くほか、各地での移動美術館、作家の調査発掘、著作権や作品の保管などの相談にも対応する。

 アール・ブリュットは滋賀県が先駆的で、県社会福祉事業団が04年に専門美術館を設立したほか、県も専門部署を設置するなど積極的に支援してきた。一方、熊本県では山鹿市の障害者支援施設「愛隣館」(三浦貴子館長)を事務局に、会員のボランティアで展覧会を運営するなど草の根的に活動している。

 過去2回の展覧会には各10日前後で約2000人が来場。西島会長は「障害者の作品としてではなく芸術作品として評価・展示することで、作品の価値や作家の創作意欲も格段に高まっている。共生社会を目指す熊本方式の活動で、全国にアピールしていきたい」と話している。

◇アール・ブリュット展覧会 県立美術館で15日まで。無料。

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