東洋鋼鈑グループの鋼鈑商事、農業関連の独自商品を相次ぎ開発 鋼板類・加工品に続く収益の柱に

 東洋鋼鈑グループの中核商社、鋼鈑商事(社長・辰巳英之氏)は、縦型の高密度式水耕栽培システムや紫外線の拡散反射装置といった農業関連の独自商品を相次ぎ開発した。親会社の東洋鋼鈑をはじめとする東洋製罐グループの技術力を結集し、機能性や経済性を追求。これまで収益の柱を担ってきた鋼板類やその加工品に続く「オンリーワン商品」として市場開拓を進める。

 このほど可変式では業界初となる、縦型の高密度式水耕栽培システムを開発した。軽量かつ衛生的な栽培ロッドで、ラックには高耐食性溶融亜鉛めっき鋼板を使用する。自在な搬送機構で品種に応じて栽培ピッチを設定したり、生長に合わせて移動距離を調整したりできる。全面から光を受けられ、水や養液が専用のパイプを循環する造りなため育ちが良い上、作業スペースを広く確保しやすい。収穫量は従来の多段式より1・5~2倍に増えるほか、1株当たりの照明電力量が15%少ないなど利点を備える。すでに国内で採用実績を上げている。

 鋼製で紫外線の拡散・反射効果が高い装置や栽培ユニットも実用化に道筋を付ける。同装置では東洋鋼鈑が展開する採光システム「どこでも光窓」の技術を応用。紫外線の照射量や積算量が安定するよう自動化し、葉の表面から裏側、群落の内部まで照射が行き届き、病害虫の抑制に効果を発揮する。

 栽培ユニットでは鏡面の反射板を搭載するほか、紫外線ランプとLEDを併用。植物の免疫力が向上し、生理障害や徒長を避ける。それぞれ兵庫県立農林水産技術センターと東洋鋼鈑グループの技術研究所で実証実験が進む。

 今後は鋼鈑商事の新規事業部が受注に対応する。いずれもあす13日まで千葉市美浜区の幕張メッセで開催する、国際次世代農業EXPOにおいて紹介する。

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