家計簿アプリ・マネーフォワードが上場で今後は?

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銀行とフィンテックの関係はどう変わっていく?


3 Lines Summary

・ フィンテックのベンチャー企業で初の本格的な上場

・ 急激に注目されたことで金融庁は矢継ぎ早に銀行法を改正

・ 日本らしいきめ細かいサービスが世界的に評価


フィンテックの旗手、家計簿アプリのマネーフォワードが、先月29日、東証マザーズに上場した。

フィンテックのベンチャー企業では、初の本格的な上場。

初値は公開価格のおよそ2倍と、市場の大きな期待を背負った順風満帆な船出だ。

上場の記者会見で、マネーフォワードの辻庸介社長は、「大きな期待を頂いたと受け止めている。魅力あるサービスをユーザーに提供していきたい」と胸を張った。

また、家計簿アプリの役割を、「お金の見える化」によって、家計の無駄遣いを減らし、その分を未来への投資につなげることができると強調した。

利便性が高い金融サービスに

2014年ごろから急激に注目され始めたフィンテック。

金融庁は矢継ぎ早に銀行法を改正し、欧米並みの金融ITサービスの体制整備を急いでいる。

2016年には、銀行や持ち株会社による事業会社への出資制限を緩和して、フィンテック企業を買収、出資しやすくした。

さらに今年も、フィンテック企業に登録制を導入して、情報管理や財務の健全性を求める一方で、銀行側には口座情報への接続(API~アプリケーション・プログラミング・インタフェース)公開の努力義務を課した。

これによって銀行とフィンテックの手を結ばせ、利便性がより高い金融サービスを生み出そうという狙いだ。

三菱UFJフィナンシャル・グループの平野信行社長は、先月都内で行われたフィンテック関連のイベントで講演し、今後のフィンテックと銀行のあり方について次のような考えを示した。

「既存の金融商品やサービスの利便性の向上、コスト削減等の付加価値をつけるスタートアップ企業は、当初は確かに破壊者であり脅威だった。しかし、金融機関とフィンテックは、お互い奪い合う競合関係より、むしろ利便性高いサービスを提供するビジネスパートナーへシフトしている」

銀行業務に進出することは?

銀行とフィンテックの垣根は今後どう変わっていくのか?

マネーフォワードの瀧俊雄取締役に聞いた。

マネーフォワード・瀧俊雄取締役

ーーまず今回の銀行法改正を、どうご覧になっていますか?

金融庁への登録要件は、債務超過でないことや、セキュリティポリシーを持っていることなどになっています。それを乗り越えてきた人たちが、銀行のドアをたたき、「お願いです、つながせてください」といったら、銀行は拒否できません。

ここがすごく革新的で、顧客データのアクセス権については、非常にフェアな制度になっています。

ーーこの法改正は、フィンテックにとってチャンスだと?

今回の改正は、フィンテックが銀行口座を代用させていただくので、アイロニックですが、基本的には銀行側のパイを増やす方向になると思います。

フィンテックは下部組織的な扱い、サッカーのJ2みたいな感じかなと思うので、本質的に儲かるのは銀行側ですね。

ただ、整備をしていない銀行からAPIが使いやすい銀行に顧客が流れるので、銀行間の競争は強まると思います。

ーーフィンテックのサービスも大きく変わりますね。
フィンテックを揶揄する言葉で「ガジェット&ウィジェット」というのがあります。

つまり「おもちゃか、いたずらみたいなものしかない」ということなのですが、ここに送金や為替業務が絡んでくると、これまでお金の周辺業務だけだったフィンテックは大きく変わります。

ーー今後マネーフォワードが、銀行業務に本格的に進出することはありますか?

よく言われるんです、「マネーフォワードさん、なぜ銀行にならないんですか」と。銀行というのは作るのに150億円ぐらいかかるんですよ、フルスペックで(笑)。

アプリが世界的に評価

東京都は、「国際金融都市東京」の構想を打ち出しているが、これまで日本の金融分野のIT活用は、「国内送金でのリアルタイム決済の実現、モバイルバンキングの実用化、生体認証技術のATMへの導入、電子マネーなど、実は数十年前から日本が世界に先駆けた事例はいくつもある」(MUFJ平野社長)のだ。

また、資産管理、家計簿アプリなど日本らしいきめ細かいサービスも、世界的に評価されているという。

日本は超高齢化社会の到来に伴い、利用者のニーズや社会課題解決の必要性が益々増えている。

高齢者や弱者の利便性向上に向けた、フィンテックへの期待は大きい。

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