【インドネシアに進出する日系鋼管関連企業、ジャカルタ近郊の工業団地から(2)】〈イシグロ・インドネシア〉工場・インフラ向けに管材拡販 「プレハブ配管加工」も視野に

 総合配管機材商社、イシグロ(本社・東京都中央区、社長・石黒克司氏)のインドネシア現地法人「イシグロ・インドネシア(ISHIGURO INDONESIA)」は、同社にとって初の海外在庫販売拠点として2013年10月に設立された。

 日本からの駐在員は清水秀一取締役1人で、営業と事務職8人のナショナルスタッフで構成。社長は、イシグロの石黒剛司専務が兼任している。

 拠点は、ジャカルタの東約40キロメートル地点で「デルタシリコン工業団地」の中心に位置する。同工業団地には日系企業が多く進出。設立当初、石黒専務は「インドネシアは日系企業の投資が盛んで、多くの工場が点在している。在庫販売拠点としての立地条件は非常に良く、現地に進出する日系エンジニアリング会社、日系工場向けにプラント商材・建築空調関連部材などをメーンに取り扱っていく」と語っていた。

 立ち上げ時は、ちょうど日系商社が現地に進出していた時期。設立翌年の14年には輸入ライセンスも取得した。

 イシグロは日本国内において、鋼管(配管プレハブ含む)などのパイプ類、継手、バルブの管材3品、衛生陶器や空調機、給湯器、ポンプ、圧力タンクなどの機器販売が得意分野。特にサブコン向けの販売に強い。インドネシアでも、まず得意分野の管材品種の営業から始めている。

 現在の販売向け先は、日系の工場向けがメーン。日系のゼネコン、サブコン、エンジニアリング会社、エンドユーザー向けが多い。特にバルブ関連製品については日本製の品質信頼性が非常に高く、販売の主力となっている。パイプはユーザーのニーズによって地場メーカーとの付き合いも多い。継手は中国製などを同じグループ会社、MIEインターナショナルの中国・上海の現地拠点である星川高科貿易や親会社経由で輸入している。

 倉庫は賃貸で、建屋面積が1104平方メートルで事務所スペースが111平方メートル。パイプ、継手、バルブ類で延べ1千アイテムを常時在庫している。パイプは鋼管と樹脂管両方を在庫。鋼管は、ガス管(SGP)やスケジュール管(SCH)の溶接管はスピンドやバークレイ、ISTW(Indonesia Steel Tube Works)などの地場メーカー材。継目無(シームレス)のスケジュール管は新日鉄住金や中国材、ステンレスは日本、台湾、韓国などから輸入している。配送などの物流は、日系のフォワーダー協力会社が担当する。

 設立当初は旺盛な日系企業の進出ニーズもあって販売は堅調に推移していたが「ここ1、2年進出ニーズは若干落ち着いており、販売もやや苦戦している状況」(清水取締役)だと言う。現在は、少しずつ地場企業向けの営業を強化。特に国内はインフラ投資が大きく、来年度も予算ベースで今期比17%増くらいが見込まれる。既存顧客からの伝手などを利用して、積極的にアプローチしている。

 品種的には、もっとも付加価値を構成できるバルブ類が戦略商品。「商社機能を駆使した卸売から、地場二三次店への営業も展開。地場の問屋は専業が多く、当社のような総合管材商はいない。日本で得意分野である卸売、建築、プラントの案件を現地で捕捉していければ」(清水取締役)との構想を描く。

 同社はバルブのメンテナンス業務ライセンスも取得している。今後は加工協力会社とのタイアップにより、材料とプレハブ配管の供給、日本で行っているようなバルブのラボ機能やメンテナンスまでを総合的に行うサービス営業の展開も視野に入れる。最低賃金の上昇傾向を見極めながら、スタッフの増員も検討していく。

 技術提案、デリバリー・物流精度、商品選定など、日本国内で行っている同等レベルのサービスを、顧客ニーズに合わせた形によって現地で提供していく。

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