ナンバープレート更新手続きで庶民から小銭を巻き上げる北朝鮮当局

北朝鮮当局が、昨年11月から国内の車両のナンバープレートを更新する作業を始めたことはデイリーNKでも既報のとおりだ。正規の手続きで発行されたものではないナンバープレートが増え、管理できなくなったことが理由だと伝えられているが、北朝鮮当局の魂胆はどうやら別のところにあったようだ。

両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋によると、ナンバープレート更新は最近完了し、先月からは古いナンバープレートを付けた車は10号哨所、つまり国家保衛省(秘密警察)の検問所を通してもらえなくなった。

市外へ出るためにナンバープレートを交換せざるを得ない状況に追い込むという、かなり強引な形で作業を進めたということだ。

更新には多額の費用がかかり、車の所有者はすべて北朝鮮ウォンではなく中国人民元で払わされたという。

国の定めたナンバープレートの発行手数料は114元(約1940円)だ。しかし、保安署(警察署)の車両監督所は手数料は200元(約3400円)で、早く受け取りたければ300元(約5100円)を払うよう要求している。つまり、不正に手数料を釣り上げて、差額をせしめようというのだ。

ところが、その魂胆を見抜いたドライバーの間からは「国が人民を相手に商売するとは何事か」との不満が噴き出した。

保安署は慌てて「新しいナンバープレートは夜光塗料が塗ってあるので、夜にも識別できる」「有事の際に、昼間に移動すると南朝鮮(韓国)米国連合軍に攻撃を受けやすい、移動は夜にしたほうがいい」と極めて苦しい言い訳をした。

そんな言い訳が通じるわけもなく「戦争の準備は国がするものなのに、その負担を個人に押し付けるのか」「結局は人民からカネをむしり取るのが目的ではないか」との声が上がり、不満は収まっていない。

不満たらたらでも新しいナンバープレートを受け取れたドライバーはまだマシだ。

闇ルートでナンバープレートを入手していたドライバーたちは、新しいものに更新できず、多額の資金を注ぎ込んで始めたソビ車(個人運送業)の営業ができなくなってしまい、ほとほと困り果てているという。

これによる車両不足と、経済制裁によるガソリン価格の高騰が相まって、北朝鮮国内の物流にかなりの影響が出るものと予想される。

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