村田修一、来季はどこへ? 12球団の三塁手事情から占うベテランの移籍先

村田修一が巨人を自由契約になった。今季も118試合に出場し、規定打席には「19」足りなかったが、チーム5位の14本塁打、4位の58打点を記録した主力打者だけに、球界に驚きが広がった。

若手選手が台頭するセ・リーグ、可能性があるのは…

 村田修一が巨人を自由契約になった。今季も118試合に出場し、規定打席には「19」足りなかったが、チーム5位の14本塁打、4位の58打点を記録した主力打者だけに、球界に驚きが広がった。

 巨人はチーム全体の若返りを図っている。そのため、37歳の村田は来季の構想を外れた。FA権を持っていたが、これを行使すると人的補償など、村田の移籍に不利に働く可能性があるため、自由契約にしたという。

 当然、村田は引退ではなく、現役続行を希望するだろう。その場合、どの球団に行くべきか、考えたい。

 その前提として、村田は三塁手で移籍する、と仮定しよう。今季は規定試合数に未達ながら、71試合で守備率.967、RF(1試合当たりのアウト処理数)2.49とトップクラスの成績を残している。来季は38歳だが、まだ三塁手で十分通用するだろう。

 セ・リーグの三塁手を見ていこう。()は守備成績。40試合以上で三塁を守った選手が対象だ。

○広島 
安部友裕 123試413打数128安打4本49点 打率.310(91試RF2.17)
西川龍馬 95試204打数56安打5本27点 打率.275(48試RF1.96)
○阪神 
鳥谷敬 143試488打数143安打4本41点 打率.293(138試RF2.05)
○DeNA 
宮崎敏郎 128試480打数155安打15本62点 打率.323(119試RF2.28)
○中日 
堂上直倫 91試151打数31安打1本8点 打率.205(51試RF1.70)
福田永将 95試299打数81安打18本49点 打率.271(45試RF2.15)
○ヤクルト 
藤井亮太 97試292打数75安打2本12点 打率.257(90試RF2.36)

 広島は三塁手が固定できずに泣き所となっていたが、今季はようやく安部が定着。その後を、打撃で頭角を現しつつある西川が急追している。村田は入る余地がないだろう。

 阪神は連続試合出場記録を更新中の鳥谷が遊撃からコンバートされ、打撃成績を向上させた。若手大山も控えているため、ここも難しい。

 DeNAは今季から宮崎が正三塁手になり、首位打者を獲得。ここから稼ぎ時だ。

 中日は後半になって、大器との評判があった福田が三塁に定着し、活躍し始めた。ただシーズン通して活躍した実績がないので、村田が入れる可能性はあるだろう。

 ヤクルトは、藤井が97試合に出場したが、三塁手は固定できず。しかし、今季椎間板ヘルニアの手術をした2015年の首位打者、川端慎吾の復帰が予定されている。それでも、怪我人が続出するヤクルトには、村田が活躍する余地はあるのではないか。

パ・リーグの三塁手事情は…

 パ・リーグの三塁手事情はどうだろう。ロッテを退団したダフィーを除く、40試合以上で三塁を守った選手を見てみよう。

○ソフトバンク
松田宣浩 143試531打数140安打24本71点 打率.264(143試RF2.09)
○西武
中村剛也 115試415打数90安打27本79点 打率.217(108試RF2.35)
○楽天
ウィーラー 142試542打数147安打31本82点 打率.271(137試RF2.31)
○オリックス 
小谷野栄一 130試470打数130安打6本47点 打率.277(105試RF1.65)
○日本ハム
レアード 137試503打数115安打32本90点 打率.229(136試RF1.69)
○ロッテ
中村奨吾 85試280打数77安打9本32点 打率.275(69試RF2.24)
大嶺翔太 91試214打数44安打5本23点 打率.206(49試RF1.02)

 ソフトバンクの松田、西武の中村は、ともに1983年生まれ、村田より3歳若いが、守備や打撃でやや衰えが見える。村田が競争に加わる余地はあるだろう。西武はFA選手はほとんどとらない球団だが、村田がFAでなくなったことで、可能性が出てきた。

 楽天はウィーラーに加えて今江もいる。やや難しいか。

 オリックスは、村田と同い年の小谷野が奮闘中だ。しかし、若手の台頭はあまりないので、村田が加入する余地はあるだろう。

 日本ハムのレアードは、入団当初は守備範囲の広い三塁手だったが、打撃だけでなく守備にも衰えが見えている。ただ、日本ハムはこういう形でベテラン大物選手を補強しないチームだ。

 ロッテは中村奨吾に期待がかかるが、彼もシーズン通して活躍したことはない。

 こうしてみると、セ・リーグは若い三塁手の台頭があるので、中日、ヤクルトに可能性がある程度。パの場合、三塁手だけでなくDHでの起用も想定すればやや可能性は広がる。また6球団とも若手三塁手が伸びていないので、可能性はあるだろう。特にロッテは新監督になるタイミングでもあり、可能性があるのではないか。オフの動向を見守りたい。(広尾晃 / Koh Hiroo)

© 株式会社Creative2