松坂世代2人、1軍で輝けなかった選手も…第1次で戦力外となった“元ドラ1”は?

プロ野球は2017年の第1次の戦力外通告期間が終了し、12球団で70人を超える選手たち(自由契約となった広島・梵を含む)が各球団から戦力外を通告された。

DeNA・久保康友【写真:編集部】

第1次では70人超の選手が戦力外&自由契約に

 プロ野球は2017年の第1次の戦力外通告期間が終了し、12球団で70人を超える選手たち(自由契約となった広島・梵を含む)が各球団から戦力外を通告された。第2次通告期間はクライマックスシリーズ全日程終了の翌日から日本シリーズ終了の翌日までとなり、12球団合同トライアウトは11月15日にマツダスタジアムで開催される。

 どの選手も将来を期待されてプロ入りを果たした選手たちだが、その中でもドラフト1位で指名されてプロの世界へと入ってきた選手たちは、期待度も高く、各球団の中心選手となる存在として注目されてきた。ここでは第1次期間で戦力外通告を受けた元ドラ1選手と、その通算成績を見てみたい。

 今回戦力外となった選手たちのうち、元ドラフト1位(自由獲得枠と希望入団枠を含む)は12選手。その中でプロ在籍年数が最も長いのは村田修一内野手の15年。“松坂世代”の36歳だ。

 村田は最も実績を残しており、戦力外通告が世間に衝撃を与えた。東福岡高から日本大を経て、2002年の自由獲得枠で横浜入り。この年は法政大・土居龍太郎も自由獲得枠で横浜入りしており、実質“ドラ1扱い”が2人いた。1年目からレギュラーを掴み取り、104試合に出場して、いきなり25本塁打を放った。

 4年目に初めてシーズン30本塁打を放ち(最終的に34本塁打)、2007年と2008年に36本、46本で2年連続本塁打王を獲得した。2012年にFAで巨人へと移籍し、その年からリーグ3連覇に貢献。今季はシーズン序盤こそ代打の座に甘んじたが、その後レギュラーに返り咲くと、118試合で打率.262、14本塁打、58打点の成績をマークした。

 プロ通算1953試合に出場し、通算打率.269、360本塁打、1123打点とし、通算2000安打まで残り135本(通算1865安打)まで迫っているが、若返りを図る巨人側の来季の戦力構想から外れ、第1次戦力外通告期間最終日の今月13日に来季契約を結ばないことが発表された。

DeNAを戦力外となった久保も松坂世代

 また同じ松坂世代ではDeNAの久保康友投手が戦力外となった。2004年のドラフト自由枠で松下電器からロッテに入団。1年目に10勝を挙げて新人王に輝いた。2009年にトレードで阪神へと移り、2013年には守護神も経験。プロ初セーブを含む6セーブを記録した。2014年にはFAでDeNA入りし、初年度に12勝をマーク。しかし今季は4勝にとどまり、来季契約を結ばないことを通知された。

 DeNAでは柿田裕太投手も戦力外に。2013年のドラフトの外れ1位で阪神、日本ハムと3球団で競合となった右腕は日本生命からプロ入りしたものの、1軍での登板はないまま、4年で戦力外通告を受けた。

 一方、巨人からは、2006年の高校生ドラフトで横浜に1位指名された北篤外野手、2007年の高校生ドラフトで巨人1位指名の藤村大介内野手が戦力外通告を受けた。北は2010年にプロ初出場を果たし、2012年オフに日本ハムにトレードで移籍。2015年途中に再びトレード移籍した巨人では、1軍での出場は2016年に3試合のみ。今季は1軍出場無しに終わっていた。

 俊足を武器とし、熊本工から巨人入りした藤村は4年目の2011年にデビューを果たすと、いきなり119試合に出場。28盗塁で盗塁王に輝き、平成生まれで初のタイトル獲得者となった。ただ2012年以降、徐々に出場機会を減らし、今季は1軍出場は無し。今月7日に戦力外通告を受けると、同14日に現役を引退することを表明した。

 また、楽天では2005年の高校生ドラフト1位の片山博視投手、2011年のドラフト1位の武藤好貴投手が戦力外通告を受けた。

 報徳学園高から楽天に入団した片山は2010年に53試合、2011年に59試合を投げるなど中継ぎとして活躍。2015年に左肘痛のために野手に転向し、オフに戦力外通告を受けて育成選手として再契約。2016年に左肘痛が回復したことから再び投手に再転向したが、今季開幕直前に左肘を故障してトミージョン手術などを受けたため、1軍出場はなかった。

 武藤は2015年に中継ぎとして60試合に投げ、4勝4敗8ホールド1セーブの成績を残したが、右肘痛のために2016年は2試合のみの登板にとどまり、今季は1軍登板無しに終わっていた。また村田、久保康と同世代の久保裕也投手(2002年、巨人自由獲得枠)も来季支配下契約を結ばないことを発表されたが、育成で再契約を結ぶ見通しとなっている。

巨人、中日からは各3選手が戦力外に

 片山と同じ2005年に大学・社会人ドラフトの希望入団枠制度でプロ入りした中日・八木智哉投手、阪神・高宮和也投手も戦力外となった。

 創価大から日本ハムに希望枠で入団した八木は1年目の2006年に2桁勝利となる12勝をマークして新人王を獲得。だが、2007年に左肩痛を発症し、その後は成績が下降。2009年に9勝を挙げたものの、2013年1月にトレードでオリックスへ。2014年オフに戦力外通告を受けると、トライアウトを経て中日に入団した。1年目の2015年は開幕ローテ入りしたが、4勝止まり。今季は2年ぶりの白星を挙げたものの、1勝に終わり、戦力外通告となった。

 高宮は大体大浪商高、徳山大を経て、ホンダ鈴鹿から希望枠で横浜に入団。1年目は8試合に先発するなど、18試合に登板。2年目からは中継ぎとなったが、目立った活躍は見せられず、2010年オフにトレードでオリックスへ。2013年にFAでオリックスへ移籍した平野恵一の人的補償で阪神へ移籍すると、2015年には左のワンポイントとして52試合に登板し、2勝8ホールドとキャリアハイの成績を残した。今季は1軍登板はなかった。

 中日では2007年の高校生ドラフト1位で浦和学院高から入団した赤坂和幸外野手も戦力外となった。投手としてプロ入りし、1年目の2008年に1軍初登板を果たしたが、その後は結果を残せず。2010年オフに育成選手となり、投手から外野手に転向。2014年途中には再び支配下選手に。2015年には35試合に出場し、投手と野手で共に1軍出場を果たす珍しい選手となったが、目立った活躍は出来なかった。

 今オフ戦力外となった中日・野村亮介投手、ヤクルト・竹下真吾投手はともに2014年のドラフト1位。三菱日立パワーシステムズ横浜から中日入りした野村は、落合博満元GMが1位指名を決めた右腕だったが、1年目の2015年に3試合に登板しただけ。ヤマハからヤクルトに加入した竹下も、1軍登板は2016年の1試合のみ。期待値の高いドラフト1位にも関わらず、わずか3年で戦力外となった。

 球団別で見ると、巨人、中日が3人ずつ、かつてのドラフト1位選手の戦力外を決断。だが、ドラフト指名時の球団で見ると、横浜及びDeNAが4選手、中日、楽天が2選手ずつとなる。今後、トライアウトや育成契約などで現役の道を模索する選手、ユニホームを脱ぐ選手と、それぞれが決断を下していくことになる。元ドラ1選手たちはどのような道を歩んでいくのだろうか。

第1次通告期間で戦力外となった元ドラ1位の通算成績は

 第1次通告期間で戦力外となった元ドラフト1位選手(自由獲得枠、希望入団枠を含む)は以下の通りだ。

〇村田修一内野手(2002年、横浜自由獲得枠)
東福岡高-日大-横浜-巨人 通算15年
1953試合 1865安打 打率.269 360本塁打 1123打点 14盗塁

〇北篤外野手(2006年、横浜高校生1位)
小松工高-横浜、DeNA-日本ハム-巨人 通算11年
56試合 23安打 打率.247 2本塁打 4打点 1盗塁

〇藤村大介内野手(2007年、巨人高校生1位)
熊本工高-巨人 通算10年
294試合 156安打 打率.226 0本塁打 27打点 49盗塁

〇八木智哉投手(2005年、日本ハム希望入団枠)
日本航空高-創価大-日本ハム-オリックス-中日 通算12年
112登板 39勝34敗 0ホールド 0セーブ 防御率3.69

〇赤坂和幸外野手(2007年、中日高校生1位)
浦和学院高-中日 通算10年
1登板 0勝0敗 0ホールド 0セーブ 防御率0.00
43試合 14安打 打率.264 0本塁打 8打点 2盗塁

〇野村亮介投手(2014年、中日1位)
静清高-三菱日立パワーシステムズ横浜-中日 通算3年
3登板 0勝0敗 0ホールド 0セーブ 防御率10.13

〇久保康友(2004年、ロッテドラフト自由枠)
関大一高-松下電器-ロッテ-阪神-DeNA 通算13年
304登板 97勝86敗 20ホールド 6セーブ 防御率3.70

〇柿田裕太投手(2013年、DeNA1位)
松本工高-日本生命-DeNA 通算4年
1軍登板なし

〇高宮和也投手(2005年、横浜希望入団枠)
大体大浪商高-徳山大-ホンダ鈴鹿-横浜-オリックス-阪神 通算12年
194登板 6勝8敗 21ホールド 0セーブ 防御率5.50

〇竹下真吾投手(2014年、ヤクルト1位)
八幡高-九州共立大-ヤマハ-ヤクルト 通算3年
1登板 0勝0敗 0ホールド 0セーブ 防御率13.50

〇片山博視投手(2005年、楽天高校生1位)
報徳学園高-楽天 通算12年
206登板 8勝16敗 48ホールド 0セーブ 防御率3.13

〇武藤好貴投手(2011年、楽天1位)
札幌藻岩高-中京大-JR北海道-楽天 通算6年
85登板 4勝4敗 8ホールド 1セーブ 防御率4.96(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

© 株式会社Creative2