終戦の西武、主将の浅村「すごく濃い1年だった」 来季へ秘める思い

リーグ戦を2位で終え、4年ぶりにクライマックスシリーズ(CS)出場を果たした西武だったが、本拠地開催のアドバンテージを生かせず、1勝2敗で楽天に敗れ、ソフトバンクとのファイナルステージ進出を逃した。

西武・辻発彦監督【写真提供:埼玉西武ライオンズ】

楽天に競り負けた西武、辻監督「大きな財産になってくれれば」

 リーグ戦を2位で終え、4年ぶりにクライマックスシリーズ(CS)出場を果たした西武だったが、本拠地開催のアドバンテージを生かせず、1勝2敗で楽天に敗れ、ソフトバンクとのファイナルステージ進出を逃した。

 第1戦は、エース・菊池雄星が5安打9奪三振完封と、圧巻のピッチングを披露した。打線も、初回の浅村栄斗主将の先制2ランを皮切りに、12安打10得点と爆発。6回には、プレーオフ、CS通算最多タイ8本目となる中村剛也の本塁打も飛び出し、ファーストステージ連勝突破へ向け、幸先の良いスタート切ったかに見えた。

 だが、2戦目は昨季までの西武エースで、今季FAで楽天へ移籍した岸孝之の好投に自慢の打線が沈黙。8回に、中村、栗山巧でチャンスを作り、1点は返したが、それが精一杯だった。

 命運かけた3戦目。先発の野上が4回までに2点を許すも、5回に1点を返し、拮抗した展開が続いた。しかし、8回に登場した5番手シュリッターが、2死からウィーラーにソロ本塁打、さらに岡島を四球で出した後、枡田にも被弾し、3点を失った。「あれで、選手の気持ちが沈んだかな」。辻発彦監督も終戦を覚悟した。9回裏、先頭の浅村が「最後の打席なので、悔いが残らないように打ちに行こう」と、今シリーズ2本目の本塁打で気概を見せたが、後続が断たれ、無念のファーストシリーズ敗退となった。

ソフトバンクとの差は「接戦をしっかりと勝ち切るところ」

 試合後、辻監督は「残念。それしか言えない。でも、選手たちはよく頑張ったと思う。久々のCSで、プレッシャーもある中で、野球ができたこと、若手にとっては、初めての経験ができて、それぞれ悔しさもいっぱいだと思うけど、それが大きな財産になってくれればいい。来季、どんな姿を見せてくれるか楽しみ。それに、この3戦を通して、あれだけのお客さんが入ってくれたことが感謝。力強かった」と、選手たちへの労いと、ファンへの感謝を語った。

 人生初となる“キャプテン”として、今季チームを牽引してきた浅村は、「もっとやれたという気持ちが強くて、キャプテンとしての自分にも、全然納得していません。今年は、今までにないぐらい、内容がすごく濃い1年だった。来年は、もっと引っ張りたい」と、悔しさを露わにした。

 また、2位に終わったシーズンを振り返り、優勝したソフトバンクとの差を「接戦をしっかりと勝ち切るところ」とした。「今回の楽天戦2戦目、3戦目もそうでしたが、『あと1本』というところ。出すのは難しいですが、ソフトバンクを見ていると、(点が)取れるときに、取っているし、失点したくないときにしっかりと押さえる。そういう、難しいところが、ソフトバンクはしっかりと出来ているなと思いました。ただ、打力とかを見たら、全然、負けているという気持ちはないですし、むしろ、僕の中では『勝っている』と思っています。来年は、もっとしっかり“打線”という形で戦いたいなと思います」と、力強くリベンジを誓った。(上岡真里江 / Marie Kamioka)

© 株式会社Creative2