元F1最高権威者エクレストン、現在はサーキットで「歓迎されていない」と語る

 バーニー・エクレストンは、F1の現オーナーからはっきりとは言われてはいないものの、自分がF1パドックを訪問することは歓迎されていないと語った。

 元F1最高権威者だったエクレストンは40年以上にわたりF1グランプリを支配してきたが、今年のはじめにリバティ・メディアがF1の買収手続きを完了したことで、その座を追われることとなった。

 今シーズン、エクレストンはいくつかのレースを訪れている。最後にサーキットに現れたのは7月に行われたオーストリアGPだったが、F1の現CEOであるチェイス・キャリーがあからさまな態度をとったため、それ以降は訪問を控えているという。

 エクレストンは、イギリスのSportsmailのインタビューに対して「チェイスが私の事務所にいる女性スタッフにメッセージを寄こした。サーキットでは、主催者から割り当てられるごく少数の部屋しか使えないのだとね」と語った。

「F1には首脳陣が3人いる(キャリー、商業担当取締役のショーン・ブラッチス、技術担当取締役のロス・ブラウン)。だから3部屋は埋まっていることになる」

「つまり、基本的に彼らは私にレースに来てほしくないのだ。私に直接言ってくれたほうが話が早かったと思うがね。ともかく、私は彼らの要望を聞き入れた」

 現在86歳のエクレストンは、グランプリで繰り広げられている戦いを、妻のファビアーナとともにロンドンの自宅でくつろぎながら観戦している。だがエクレストンは80年間住んだ街を離れてスイスに移住する予定であり、この生活もじきに変わることになる。

「ちょうど準備を進めているところだ」と語る“ミスターE”は、最近になって残る保有株式をF1に売却したことで、すでに十分に満たされていた自身の金庫にさらに3億ポンド(約445億6800万円)を追加している。

「私は30年近く前からスイスの在住許可を持っている。ずいぶん昔はそちらに家を建ててF1運営会社も移すつもりでいたが、イギリスを離れるために必要な人材を十分に集めきれなかった」

「それが(ロンドンに)居残った理由だ。だが、今はそんなことを考える必要もない。ただ向こうに行って住めば良いだけだ。数人の事務所スタッフは連れて行くが、大人数にはならないよ」

「これからも、ときには友人たちに会いにロンドンに帰るつもりだし、コーヒー農園を持つブラジルで過ごす時間も増やそうと思う。ただ、私にとっての主な住居はスイスになるということだ」

 今シーズンのF1世界選手権の戦いについては、大方の予想と同じく、エクレストンもまたルイス・ハミルトンが王座を勝ち取ると信じて疑わない。

 エクレストンは、59ポイントという十分に余裕のあるリードを持つハミルトンについて「ルイスは次のオースティンで(タイトル獲得を)決めるだろう」と語り、さらにこう続けた。

「序盤はフェラーリが覚醒を見せたが、その後は眠りに落ちてしまったかのようだった。一方で彼は今シーズン、見事な走りを見せている」

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