【東海地区厚板市場 どうなる?需給・価格】流通、メーカー販価推移に注目

荷動き一段落、市場に慎重姿勢

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 東海地区の厚板流通市場に、わずかながら変化の兆しが出てきた。メーカー販価の値上がりが明確になった9月前後は荷動きも増えたが、ここへ来て定尺品、切板(店売り)ともに動きは一段落してきており、流通筋では、今後の末端市況やメーカーの販価動向をよく見て対応しようとするムードが出てきた。市中在庫も、足元では枯渇した状況とは言えない。大手需要家は忙しく、メーカーの生産も高水準。しかし、流通筋はあまり実感が湧かない。目先でメーカーの販売姿勢に変化が生じるのかを、関係者は注目している。

 「メーカー販価動向に変化の兆しが出てきたのか」と、地区流通筋が少しずつ認識し始めた。「正式契約とは別の取引により、全体を調整しようとする動きが出ているのでは」という情報が、市場に流れてきているためだ。

 メーカー販価は、コスト高に応じた値上げ局面が続いている。国内メーカーの生産水準は高く、品種によっては年末年始で品不足が顕在化するのではないか、とのムードも強まる。

 実需は、底堅い。建産機、工作機械はいずれも好調。大手需要家を中心に稼働率は高く、関係する加工業者も繁忙案が出ている。単純に足し算をすると、ユーザーの発注分を十分にカバーしきれない可能性も指摘される。それが市場価格(需給要因)としての値上げにもつながると見込まれている。

 特約店筋からは「荷動きは、基本的に実需に根差している」との声が聞かれる。引き合いのロットはそれほど大きくはないが、引き合い件数自体は「ここ数カ月それほど変わらない」という。

 しかし、販価面では、メーカーの上げに見合った価格転嫁は道半ばといえる。切板価格(店売り)なども安定しており、ここへきて特に値上がり局面にあるという感じはない。

 加えて、荷動きに一服感が出ている。「値上げが明らかとなった時点では、仮需と実需が交錯して商いは増えたが、ここへきてその動きは一段落している」との声が多く聞かれるようになった。

 建築関連はこれから仕事が増えてくると期待されるが「人手不足と2020年以降の建設需要の落ち込み予測を背景に、足元の建築案件はあっても、選別受注などにより鉄骨加工や建設工事が大きく増えていくことにはならないだろう」との見方も根強い。仕事が切れることはないが、実需が大きく振れる可能性はそれほど大きくはなく「現状の荷動き、加工業者の稼働が基本的には続くだろう」との認識が扱い筋には多い。

 仮需的な動きが一段落し、末端の中小ユーザーに対する価格転嫁が難しい局面。そうした中で出てきた市場のこうした予測が、打ち消されるのかどうか。実需が膨らめば一掃される話ではあるが、関係者は動向に注目している。