【MLBプレーオフ】ドジャース初戦先発はカーショー WSでの“日本人先発対決”実現の可能性を探る

ナ・リーグはドジャースがワールドシリーズ進出を決めたが、田中将大投手の活躍でア・リーグ制覇に王手をかけているヤンキースがワールドシリーズに進出した場合、ダルビッシュ有投手と田中の“日本人対決”が実現するだろうか。

ドジャース・ダルビッシュ有(左)とヤンキース・田中将大(右)【写真:Getty Images】

ヤンキースもWS進出に王手、ダルビッシュと田中が対決する可能性は…

 ドジャースが19日(日本時間20日)のリーグ優勝決定シリーズ第5戦でカブスに11-1で圧勝し、4勝1敗で29年ぶりのワールドシリーズ進出を決めた。この試合では、第1戦でも好投したメジャー最強左腕のクレイトン・カーショー投手が大量援護を背に6回3安打1失点と快投。試合後、デイブ・ロバーツ監督は中4日で迎えるワールドシリーズ初戦(ドジャースタジアム)でカーショーを先発させることを明言した。

 そこで気になるのは、田中将大投手の活躍でア・リーグ制覇に王手をかけているヤンキースがワールドシリーズに進出した場合、ダルビッシュ有投手と田中の“日本人対決”が実現するかということだ。

 まず、カーショーが地区シリーズ、リーグ優勝決定シリーズに続いて“開幕投手”を務めることが決まったことで、ダルビッシュは2戦目以降に先発することになる。ここまでは、ベテラン左腕リッチ・ヒルが第2戦、ダルビッシュが第3戦という流れが続いてきた。

 大きな理由として、ヒルの“内弁慶”ぶりがある。今季のレギュラーシーズンでは、本拠地14試合登板で7勝5敗、防御率2.77であったのに対して、敵地では11試合登板で5勝3敗、防御率4.06。ワールドシリーズもドジャースの本拠地ドジャースタジアムからスタートし、2試合を戦った後に移動日を挟んで敵地で3試合、そして再び移動日を挟んで本拠地で2試合と続く。

 第1戦で投げた投手が中4日で第5戦、第2戦で投げた投手が中5日で第6戦、第3戦で投げた投手が中4日で第7戦というのが、メジャーの7試合制の短期決戦の基本的な流れ。つまり、ヒルを第2戦で先発させれば、その後の第6戦と合わせて2回とも本拠地で投げられる。

ヤンキースが第6戦で勝ち抜ければ「ダルVS田中」の可能性は低いが…

 一方、ドジャースタジアムを本拠地にしてから間もないダルビッシュは、PSに入ってから敵地で好投を続けている。ワールドシリーズも第3戦と考えるのが、自然だろう。ただ、当然、シリーズの展開次第では、第6戦と第7戦が行われない可能性もある。短期決戦で後のことを考えるのは決して得策ではないだけに、世界一がかかった舞台でロバーツ監督がどのように決断するか、注目が集まる。

 一方、ワールドシリーズ進出に王手をかけているヤンキースの田中は、リーグ優勝決定シリーズの第1戦と第5戦で先発。第1戦は6回2失点の好投も敗戦投手となったが、2勝2敗で迎えた第5戦は7回無失点と圧巻の投球を見せ、絶賛を浴びた。第6戦はセベリーノ、第7戦はサバシアが先発予定となっている。

 ヤンキースとしては、第6戦で決めたいところ。そうなれば、ワールドシリーズ初戦は田中が先発する可能性が高いだろう。今ポストシーズンで好投を続けているサバシアを第1戦にもっていくという選択肢もあるが、田中も今季のレギュラーシーズンでは本拠地で防御率3.22、敵地で同6.48と成績に大きな差がある。田中を第2戦に回せば、2試合とも敵地での登板となってしまうが、第1戦ならば第5戦はヤンキースタジアムで先発できる。もちろん、エースとしての風格を漂わせ、圧倒的なパフォーマンスを見せ続ける日本人右腕に大事な初戦を任せたいという気持ちもあるはずだ。

 そうなれば、田中はカーショーと、ダルビッシュはセベリーノかサバシアと投げ合うことになるだろう。ただ、状況が変化する可能性があるとすれば、ヤンキースのリーグ優勝決定シリーズが第7戦までもつれ、田中が総力戦の最終戦でブルペン待機してスクランブル登板した場合だ。本人は第5戦の試合後の記者会見で「これで終わりではないので、どういった形になるか分かりませんけど、明日から準備していかなければいけないと思います」と話している。

まずはヤンキースがワールドシリーズ進出を果たせるかが注目

 もし、ヤンキースが田中も投入するという“奥の手”で辛くも勝ち抜けを決めた場合、中2日で迎える第1戦での先発は厳しくなってくる。短いイニングならば、中3日での第2戦で先発という選択肢もあるが、現実的には中5日で第3戦のヤンキースタジアムに備える可能性が高いのではないか。相性のいい本拠地で投げることもできる。そうなった場合、ダルビッシュとの日本人対決が現実味を帯びてくる。

 メジャーリーグのポストシーズンはとにかく先の読めない戦いが続くだけに、計算はできない。何より、まずはヤンキースがワールドシリーズに進出しなくては、日本人対決も実現しない。今季101勝(61敗)を挙げたアストロズの強さは本物。本拠地ではムードがガラリと変わる。低調だった打線に1度火がつけば、ヤンキースにとっては極めて難しい戦いになる。

 ワールドシリーズでは、リリーバーとして快投を続ける前田健太投手の働きからも目が離せない。ヤンキースが進出すれば、展開次第では、同い年の田中と前田が同じタイミングでマウンドに上がり、投げ合うという可能性もあるだろう。いずれにせよ、熱い戦いが続くメジャーのポストシーズンから今年も目が離せないことは確かだ。(Full-Count編集部)

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