「がんになっても、おしゃれして」患者の外見変化をケア

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抗がん剤治療で爪が荒れた女性にネイルケアを施す中村貴子さん(左)と安藤公子さん(中央)=神戸市中央区脇浜町1

 がん治療による外見の変化へのケア「アピアランスケア」を知ってもらおうと、神鋼記念病院(神戸市中央区)の看護師らが12、13日の両日、「がんサポートフェア」を同病院で開いた。悩みを軽くして「生きる力」を取り戻してもらおうと初開催。患者向けのおしゃれで体に優しい下着やウィッグ(かつら)、化粧品などがそろい、患者ら約200人が看護師らのアドバイスを受けながら試した。(田中伸明)

 がん患者は、手術による傷や体形変化、抗がん剤・放射線治療による脱毛や顔などの黒ずみ、爪の変形、リンパ節切除によるむくみ(リンパ浮腫)などで悩む人が多い。治療の進歩で社会復帰できる患者が増える半面、外見の変化へのケアが重要になっている。

■心に深い傷

 フェアは、同病院のがん看護専門看護師、安藤公子さん(48)が提案し、看護部で企画した。「外見の変化に深く傷つきながら、『命が助かったんだから』とあきらめ、元気をなくす患者が多い。がんになっても、おしゃれをしていいよ、と伝えたい」と話す。

 業者の協力で、さまざまな髪形や色調のウィッグを準備。ずれを気にせず、短時間で装着できるウィッグ付き帽子も展示した。乳がん看護認定看護師の中村貴子さん(41)はフェアの期間中、ずっと金髪のウィッグを着け「気軽におしゃれを」とPRしていた。

 乳房の切除手術を受けた女性向けの下着も展示。乳がんの経験者が経営する下着会社の協力で、肌触りが良く、デザイン性も高い製品を取りそろえた。ファンデーションや眉墨、頬紅、マニキュアなども多彩で、看護師や業者がメークのこつを指導した。

 アロママッサージのコーナーもあり、多くの患者がストレスを癒やしていた。

■闘病の励みに

 アピアランスケアにより、前向きになれたと話す患者は多い。

 同病院で乳がんの抗がん剤治療を受ける神戸市東灘区の主婦(48)は、髪が抜けるストレスは想像以上だったという。「そんな時、夫が『ウィッグには金に糸目を付けない』と言ってくれた。好みの髪形や色を選び抜き、外出する自信がついた」。フェアでは色鮮やかなマニキュアを塗ってもらい、目を輝かせていた。

 アロママッサージなどを受けた神戸市北区のパート女性(53)は、同病院で乳房の摘出手術を受けた。入院中、おしゃれな患者用下着を見せてもらい、励まされたと話す。「傷が回復すると、こんなすてきなブラジャーを選べるのかと思い、元気が出た」

 同病院看護部長の重見奈名代さん(53)は「病気の治療が生きる目的ではない。アピアランスケアをきっかけに外へ目を向け、自分のやりたいことを実現してほしい」と話す。フェアは来年も開催予定という。

 アピアランスケアなどに関する問い合わせは、同病院がん相談支援室(平日午後2~5時)TEL078・261・6711

〈がん患者のおしゃれのこつ〉 ◇ゆるキャラ「くまモン」の赤い頬の位置にオレンジ色の頬紅を丸く乗せるだけで表情も気分も一変 ◇抗がん剤治療の前に自分の眉を撮影しておく。脱毛した後に描こうとしても位置が分からなくなる ◇乳がんの手術後は、回復段階に応じて徐々におしゃれな下着を選ぶ。初期は胸への圧迫を避ける ◇マニキュアは自分の好きな色を気分に合わせて選び、元気アップ (神鋼記念病院への取材に基づき作成)

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