突破確率0%報道に「変えるしかない」 鷹・内川、“CS男”の本領発揮でMVP

MVPに選出されたソフトバンク・内川【写真:藤浦一都】

MVPの内川、周囲に感謝「みなさんに恩返ししたいと思っていた」

 22日のクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第5戦に勝利して、日本シリーズへの進出を決めたソフトバンク。内川聖一は初戦から4試合連続の本塁打、両チーム最多の7打点を挙げる活躍で同ステージのMVPに選ばれた。

 誰もが認める神懸かり的な活躍。内川のMVP獲得に異論を唱える者はいないはずだ。工藤公康監督、サファテとともにクライマックスシリーズ優勝会見に出席した内川は、MVPの受賞について少し神妙な表情でこう語った。

「レギュラーシーズン中に怪我でチームにいることができない期間が長かったので、結果でみなさんに恩返ししたいと思っていました。怪我を治す過程の中ではトレーナーさんや病院の先生など、いろいろな方にお世話になってここに立てていますので、本当にその感謝の意味も込めて頑張ろうと思っていました。本当にみんなに獲らせてもらったMVPだと思います」

 内川は2011年、2015年のCSでもMVPを獲得しており、今回が3度目の受賞。まさに“CS男”としての本領を発揮した5試合だった。王手をかけて臨んだ第5戦でも、初回にきっちりと犠牲フライを放って先制点をもぎ取った。

「チームの流れがよくない時には何とかいい流れに変えてやろうと思って打ちましたし、今日も先制点の状況でまず1点取ることによってみんなが勢いに乗ってくれるんじゃないかなという思いで打ちました。ボクもみんなに乗せられて打たせてもらったと思います」

突破確率0%の報道に「じゃあ、それを変えるしかない」

 初戦に負けた翌朝「どこを見ても(突破確率が)0%だ、0%だと書いてあった」という内川は「じゃあ、それを変えるしかない」という気持ちになったという。しかし第2戦にも敗れ、1勝のアドバンテージを持ちながら楽天に白星を先行された。第3戦では、工藤監督が試合前の円陣に加わり「がむしゃらになって、バカになって野球をやろう」と声をかけた。

「監督が先頭に立って円陣に入ってくれたというのは、ボクにとってもチームにとっても心強かったし、ありがたかったと思っています。やはり監督自らが示していただいたことで全体が『よし、やるぞ』という気分になれたことはあると思いますので、監督に感謝しなければいけないなという部分がすごくあります」

 そこから3連勝。初戦に敗退しながらファイナルステージを突破した初めてのチームになった。内川はキャプテンとして「(歴史を変えた)その一員としてホークスにいることを誇りに思いますし、力を合わせた結果だと思いますので本当にみんなで喜ばないといけないなと思います」と笑顔ながらに語った。

 28日からは日本シリーズ。一昨年はファイナルステージでの怪我で出場できなかった内川にとっては待ち望んだ戦いとなるはずだ。

「1つ段階を上がっただけ。去年負けた時点から『日本一を目指してやるんだ』ということを監督もずっとおっしゃってくれていましたので、日本一に向かって日本シリーズも頑張りたいと思います」

 相手はセ・リーグ王者の広島か、内川にとって古巣となる横浜か。その答えはもう少し先になりそうだが、どちらが相手でも日本一を奪い返すために全力で戦うだけだ。

(Full-Count編集部)

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