女ストーカー、男を震え上がらせる

ストーカー事件は女性の被害者が多いと思いがちですが、男性でも被害に遭っています。結果ではなく経過が問題であり、被害者の苦痛や苦悩は計り知れません。被害者にならないためにはいま一度自分を振り返ってみましょう

男だって! ストーカー被害

世間では女性がストーカー被害に遭うケースがよく知られていますが、男性が女性のストーカー行為に脅かされるケースも少なくありません。芸能人や有名人なら報道される場合もありますが、ごく一般の男性が被害に遭っても事件として取り上げられるどころか、警察に相談することすらためらわれることが多いようです。

女性だから危害を加えられない? 女性だから、刃傷沙汰にはならない……? そうとは限らないでしょう。たしかに報道されるのは女性が被害者になるケースばかりですが、ストーカー問題は結果だけが重要なのではありません。報道されるものだけが事件ではないですし、被害者にとっては、その経過こそが恐怖であり、苦痛なのです。

「リベンジポルノ」が話題になりましたが、男性も勤務先に不審な電話やファックスなどが送りつけられたりして社会的な迷惑をこうむる場合もあります。転職を余儀なくされるなど男性にとっては生涯にわたるダメージとなる危険性もあります。また、交際相手がいる場合は、相手の女性にまで被害が及ぶ場合もあります。

被害者はストーカーへ好意がないにも関わらず、ストーカーの脳内変換によってやることなすことすべて「好意がある」と解釈されてしまうのです。たとえば、「自分には彼女がいるから」と言って、相手(ストーカー)に諦めてもらおうと思っても、「きっとその人と別れたがっているのだわ」と、考えられてしまうことがあります。

「本当はキミと付き合いたいのだけれども、彼女がいるからそうはいかない」と言っているものだと勝手に思い込み、「私がその女と別れさせてあげる!」と、なってしまうのです。このような一方的な思考は誰がどう言おうと変わりません。

ストーカー予備軍に捕まらないために

被害者になり得る人は基本的に誰にでも優しいので、一見、特に問題はなさそうなストーカー予備軍にも優しく接してしまいます。ほかの人なら社交上のことと理解できる話でも、予備軍は「自分にだけ特別」と思い込むふしがあります。誰にでも向ける笑顔ですら、「わたしにだけの笑顔」と誤解します。

「自己中心的」で「思い込みが激しい」ので、人との付き合いや過去の恋愛、仕事があまりうまくいっておらず、自信もないでしょう。「被害者意識」が強く、他者を責めたり、悪口を言ったりすることが多いはずです。そのくせ「自分は悪くない」と思っており、「自分のことを理解してほしい」と切望しています。

束縛することで相手を自分の思い通りの人にしたいと願っており、それを愛情と勘違いしています。度重なるメールや電話などで相手の気持ちを確かめようとします。SNSなどで情報をかき集め、何でも知ろうとします。知らない間に友達関係に「友達申請」をしていたら要注意です。

人に優しい人は冷たくすることや、ハッキリ断ることが苦手な場合が多いようです。あいまいな態度はストーカー予備軍を増長させます。うっかりメールアドレスを教えたりすると、朝昼晩とメール攻撃に遭うかもしれません。電話番号やメールアドレスはやたらと教えないことが大切です。

多少の好意を持ったとしても、親しくなる前に相手の情報を得るようにして、万一の場合に備えて被害は最小限に済ませるように自分の情報は出し惜しみましょう。自分をよく見つめなおして、ストーカー被害を受けそうなタイプだと判断したら(異性にモテる、好まれるタイプの人は要注意です)、接触する異性には細心の注意を払いましょう。八方美人はやめて、あいまいな言葉を避けましょう。最初が肝心なので、異性としての魅力は押さえて淡々と対応することです。

(文:佐伯 幸子)

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