【神戸製鋼所の品質データの改ざん問題】データ改ざん、厚鋼板でも 神鋼鋼板加工で板厚の測定データをねつ造、アルミ押出品で従業員が検査妨害

 神戸製鋼所は20日、品質データの改ざん問題で、新たな不適切事案が判明したと発表した。厚鋼板の加工子会社、神鋼鋼板加工で板厚の測定データをねつ造していた。また銅管で、JISの認証機関から品質マネジメントに問題があるとの指摘を受けたことを明らかにした。一方、長府製造所では、自主点検の際、管理職らがアルミ押出品の品質検査データを報告せず、不適合品の発覚を免れていた事実も公表した。新たな事案の公表を受けて、社内につくった「品質問題調査委員会」に代えて、外部委員による調査委員会に調査を委ねる。

 厚鋼板加工では、2015年1月から17年9月に出荷した厚板(3793トン、ユーザー数1社)で、板厚測定を一部実施しなかったほか、同測定データをねつ造した。この厚板は鉄骨・橋梁、輸送機以外のユーザーに出荷していたという。神鋼は安全性に問題はないとしている

 JISマーク表示製品で不適切な行為があったのは銅・銅合金管。16年9月から17年8月までに出荷していた製品(25トン、ユーザー数4社)で、ユーザーと取り交わした仕様書の強度データなどを書き換えていた。JIS規格を満たしていたが、社内規格をクリアするためにデータをねつ造したという。

 この銅管では、審査に入った日本品質保証機構(JQA)から品質マネジメントに問題があると指摘されたほか、16年9月以前の出荷品でJIS規格を満たしていないものがあったとの指摘を受けた。

 長府製造所では、今回の自主点検の際に、管理職を含む従業員らが故意に品質検査データを隠ぺいしたことが判明した。不適合品の対象数量は不明としており、神鋼は「従業員による妨害行為」と説明した。

 不適切行為が新たに判明したことで、神鋼は調査体制を見直す。これまでは川崎博也会長兼社長をトップとする社内委員会が調査に当たっていたが、今後は外部委員による調査委員会に委ねる。

 神戸製鋼所の品質データ改ざん問題をめぐって20日の記者会見に出席した梅原尚人副社長、山本浩司常務執行役員らとの主なやり取りは次の通り。

――コベルコマテリアル銅管のJIS不適合製品について。

山本氏「数量は現時点で調査中で把握していない。JQA(日本品質保証機構)の調査ではJISH3300相当品と伺っている」

――検査の妨害行為はいつ、誰が、どんな手法で行ったのか。

梅原氏「8~10月に行われた。管理職を含む複数名が関与している。把握したのは昨日(19日)で詳細な時期や手法はまだ把握し切れていない。(妨害のあった)アルミ押出品の用途は顧客と協議中で現時点で公表を控える」

――8月末の発覚後も不正が行われていたのか。

山本氏「そうではない。8月以前の報告が現場から正しく上がってきていなかった。アルミ・銅製品で最初に不正が判明したのが8月末。その後、9月から全社を対象に改めて点検する過程で8月以前の不正が新たに見つかった。現時点で不正の製品は出荷されていない。不正が続けられていたわけではない」

――神鋼鋼板加工の不適合製品について。

山本氏「加古川製鉄所からの出荷段階で適切に管理されており、板厚に全く問題はない。用途は今は申し上げられない」

――法令違反はこれまでないとしてきたが、今回出てきたということか。

梅原氏「10月8日の公表時点でデータの書き換えは把握していたが、法令違反ではないと考えていた。しかしその後のJQAとの調査で品質保証体制が十分ではないと判断された。法令を順守できなかったと認識している」

――神戸製鋼の企業統治の認識は。

梅原氏「十分ではないと考えている」

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