愛のムチ

今回も前回に続いて丸山桂里奈さんに尊敬する先輩である澤穂希さんについて語っていただきます。今回は澤さんとの知られざるエピソードについてです。

北京五輪の時にあの温厚な澤さんを怒らせてしまいました。

あんなに怒った澤さんを見るのは初めてで、ただただ腹が立ったから怒ったのではなく、

私のために、そしてそれがチームにつながると言うことで、怒ってくれました。

北京五輪の試合のとき、私はスーパーサブの中でも1番に使われる存在でした。

ウォーミングアップは選手それぞれなので、たくさんやる人もいればあまりやらない人もいます。

私はたくさんやりすぎて疲れた人を見て、これじゃだめだと逆に全くウォーミングアップをしませんでした。

その結果全く動けず、キレもなく、試合に響いてしまいました。

その結果、チームも敗戦、私も自分自身本当に今までにないくらいのプレーをしてしまいました。

その時に、澤さんが私のところにきて、「かりな、かりな、ちゃんと動けよ、わかる?」と私に言いました。

私は頭では理解してるもののあまり自分で動けなかった自覚はなかったのですが、

澤さんに本気で怒られ、このままじゃだめだと思い、

それからの私は今までがうそだったかのようにトレーニングも自主トレもたくさんするようになりました。

毎日坂ダッシュを百本し、澤さんに絶対認めてもらうんだ!と強い気持ちだけでした。

そして、その2年後のワールドカップ ドイツ戦で、澤さんからのスルーパスに走りこみゴールを決めました!

そして、ドイツに初勝利をおさめました!!

あの時、私としっかり向き合ってくれた澤さんに感謝の気持ちでいっぱいです。

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