金属行人(10月24日付)

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 見事な勝利だった。衆議院選挙の話ではない。台風21号が迫る中、京都競馬場で行われたGIレース・菊花賞の結果である▼今年は有力馬の出走が少なく、ただでさえ混戦とされていた。さらに、ぐずついた天気が続き22日の当日も強い雨。馬場状態は、素人目でも「不良」と分かるほどぬかるんでいた。この場合、馬に負担がかかり通常よりパワーが求められる。しかも菊花賞は3千メートルという長距離だ▼これを制したのは一番人気の「キセキ」号だった。瞬発力の高さは評価されていたが、パワー型のステイヤーとは目されず、調教師は雨で馬場が荒れれば不利になるとも口にしていた。さらに枠順は13。ショートカットしやすくなる内枠に比べ、この点でも不利だった。そんな悪条件が重なる中、馬も騎手も泥だらけになりながら最後の直線できれいに抜け出し人気に応えた。父馬も道悪巧者だったというから、奇跡ではなくまさに実力の勝利と言えるだろう▼環境や時代は自ら選べない。どのような状況下でも力を出し切り、その結果は自分で飲み込むほかない。同じ日に投開票された衆院選。小池旋風は追い風から向かい風に変わり、これに翻弄された候補者が多々生じた。それもまた、今の野党の実力と言うほかない。